コラム

駅から会社までの道のり、約10分。その間に、4個の信号がある。

その中で、特に交通量の少ない信号については、ほとんどの歩行者が赤信号を無視して渡っていることに気付いた。

信号を守る日本人

一昔前は、日本人といえば、車が一台もいなくても、赤信号を律儀に待っているとして、その規律を重んじる国民性は海外でも驚きの目を持って見られていた、という話を聞いたことがある。
20年くらい前は、実感としてまだそういう風潮があったようにも思う。

確かに、朝の時間帯で車が一台もいないのに、赤信号だからといって立ち止まっているのは「無駄」かもしれない。だが、僕はほぼ全ての信号を確実に守る。なぜなら、僕は侍だからだ。あと、いちいち左右を確認するのが面倒だからだ。そこに払う労力、注意力の方が僕にとっては無駄なコストである。

ただでさえ頭がぼうっとしている朝方、しかも両耳にはイヤホーンで音楽が流れていると、これはいつ不注意で車にはねられてもおかしくない。そんなリスクをおかしてまで、キョロキョロして小走りに信号を渡るようなみっともないマネも、あるいは堂々と無視するような格好悪いマネもしたくないのだ。

信号無視が社会を壊す

もちろん、最大の理由は、信号を守ることがルールだからだ。こうしたルールの一つ一つが、社会の安寧秩序を守っているはずだし、また「規則を守る風潮」こそが、治安の良い安定した社会を形成するもっとも大きな要因だと思っている。

赤信号を平気で渡る人たちは、こうした日本人の規範意識がどんどんと希薄になっていることの表われだと思う。

ただ、人数にもよるが、僕が赤信号の前で直立不動の姿勢を取っていると、後続の人もつられて立ち止まる可能性が非常に高いことにも気がついた。僕はここに、「赤信号、みんなで~」に見られるような無責任さ、「迷惑かけなければ何やったっていいでしょ」という戦後日本ミンシュ主義の典型を見るのだ。
そもそも迷惑はかかっている。「規則は守らなくてもいい」という風潮づくりに荷担することによって、少しずつ、間接的に日本の治安を悪化させているのだ。

信号を守るメリット

赤信号で立ち止まることによって、僕は

  • 自分の身の安全
  • 子供たちの生命
  • 社会の安定
  • 心の平穏

を得ることが出来るのだ。(あるいは、得た気になれる。=心の平穏)これがたかだか30秒の時間と引き替えになるなら、何ともお得な話である。

(櫻木)