コラム

季節外れの寒風が吹きすさび、2週間前はあれだけ咲き誇っていた桜もあっという間に散ってしまった。

しかし、通勤途中に、なぜか満開になっている桜がある。


20070417_2.jpg

一体、いかなる変異がこの桜に起こったのかはわからない。しかし、それは夜目にもとても美しい桜だった。

4月上旬に一斉に咲いて一斉に散る、その統制のとれた美しさこそが桜の醍醐味ではあるが、時代の流れに逆らうかのような、このマイペースな桜の個性も、また美しいではないか。SMAPの歌ではないが、美しいものは美しいのである。

ただ、この桜はただ一本で咲いているのではなくて、何本かで小さな桜並木をなしている。その桜並木が、すべて足並みをそろえて、今、咲いているのだ。

桜は単に気候の差のみならず、こうしてお互いになにか波長のようなものを交し合って花を咲かせるのだろうか。土壌や日照などだけでは説明が付きそうにない。

しかし、植物とて生き物なんである。僕らは、植物が動かないからついつい無生物のように見てしまいがちだけど、「日に向かって葉を広げる」「美しい花を咲かせる」など、植物にはシンプルで力強い「意思」が確かに存在しているのだ。

(櫻木)