コラム

20070507.jpg先日、知人にチケットを譲ってもらい、モーニング娘・吉澤ひとみの卒業公演を見た。そこでのパフォーマンスと、吉澤が見せた堂々たるリーダーシップに感銘を受けた。

彼女は、リーダーとして大切な態度のいくつかを備え、見事にリーダーシップを発揮していた。これは、アイドルグループという特殊な環境下だけでなく、現実の組織に生きる我々にも参考になる部分が多いと思う。

リーダーシップとは行動

「リーダーは努力してなるもの」
人はよく、「あの人はリーダーシップがある/ない」という言い方をする。これはあたかも、それが元々持って生まれた資質であるかのようだ。しかし、実際は違う。もちろん、天性の資質は確かにあるが、生まれたときからのリーダーなどそうはいない。ある日、年齢や状況によってリーダーを任されるか、自発的に決意するかしてリーダーになるのだ。

吉澤ひとみの場合も、年齢とグループ歴から回ってきたリーダーだったが、昔は「自分の魅力が分からない」と引っ込み思案になったり、悩んで沈んだ顔をすることも多く、不安視する声もあった。しかし、彼女は立派にリーダーを務めるあげていた。リーダー就任以前にフットサルチームで培ってきたキャプテンシーもあった。

これはまさに、リーダーシップが後天的な努力と、日々の具体的な行動の積み重ねで身についていくということを示す好例だろう。地位が人を作るのだ。

育てるリーダー

「リーダーは応援する」
あるメンバーがスランプに陥っていたとき、周囲の人に「がんばれ」「がんばれ」と励まされたという。しかし、「がんばれ」という言葉は、便利だがやや一方的な感もある。そのメンバーも「がんばれ」の声で余計にプレッシャーを感じてしまった。吉澤は、そのメンバーの手を無言で強く握って励ましたそうだ。

リーダーに、必ずしも言葉は必要ない。大事なのは、チームメイトをよく観察し、心から気にかけているというメッセージを送ることなのだ。

実行するリーダー

「リーダーは好かれようとしない」
リーダーは、チームメイトに好かれようとしてはいけない。結果として好かれるのはいいのだが、好かれるために行動するのは良くない。それは、単なる迎合となり、チームの弱体化と不均衡を生む。

メンバーは基本的に自分自身のことを考えるが、リーダーは自分と同じか、それ以上に組織全体のことを考えて行動しなくてはならない。そのためには、自分が嫌われることをおそれて、正しいことが言えないようではいけない。

新メンバーである久住小春は、吉澤によく怒られたという。しかし、卒業式では、誰よりも吉澤を慕っているように見えた。相手のためを思ってちゃんと如かれるリーダーは、最終的に信頼を勝ち得る。

笑うリーダー

「リーダーは歯が命」
メンバーからの「アイドルとして大切なことは?」との問いに、吉澤はこう答えた。
「アイドルは歯が命。とにかく笑うこと。辛いことがあっても、笑う。そうすれば、きっと大丈夫」
その言葉通り、湿っぽいところを全く見せず、泣き言も言わず、逆に泣きじゃくるメンバー達を励ましながら、笑顔で完全燃焼の卒業式だった。

卒業発表の直前、16歳になる最愛の弟を交通事故で失ったときも、吉澤は逃げず、泣かず、笑顔でコンサートに臨み、ファンに卒業を発表した。

狼か羊か

戦争の天才と言われたナポレオンは、「一頭の羊に率いられた百頭の狼は、一頭の狼に率いられた百頭の羊に敗北する」との言葉を残している。あの戦争の天才も、それだけ指揮官の優劣の重要性を熟知していたと言うことだ。

とかく組織の配置や人選のみがクローズアップされがちだが、そのポテンシャルを生かすも殺すもリーダー次第なのだ。そのことを常に意識しながら、僕もいつかは狼のリーダーになりたいと思うのだった。

参照URL等

強いチームを作るには、上下関係は必要です。

(櫻木)