日記

IKEAは凄かった

一人暮らしを始めるに当たって、すぐに必要になるのは家具である。最近日本で話題になることも多いスウェーデン生まれの家具ブランド「IKEA(イケア)」も選択肢に入ったこともあったんだけど、「北欧風は今回の部屋作りのコンセプトに合わなそうだな…」程度に考えて、本棚くらいしか検討していなかった。

が、一度行ってみて考えが変わった。いや、イケアすげーわ。アマゾン倉庫と同様、千葉のちょっと郊外の地価が安いところにあるのだろう、まずその巨大な建物に圧倒されたが、中ではさらに圧倒された。

ディスプレイ

入り口ではまず「順路」や「イケアでの買い物の仕方」などを書いたチュートリアル看板がある。それに従って、まず最初は売り場でなくて1フロア分の展示を延々と見せられるのだ。この展示が良くできていて、それぞれのブースが一つ一つ、実際の部屋のように家具調度類が配置してあって、それをぐるぐると見ているうちに、客は「自分でもこんなオシャレな部屋ができるかも!」という風に徐々にイケア脳になっていくのである。

もちろん、このショールームはきちんとコーディネートされ、しかも不用品が全くない展示だからこそカッコ良く見えるという面もあるが、基本的にイケアの家具のデザインレベルは総じて高い。しかも、家具にしては驚くほど安い。

僕は当初、この安さのみがイケアの売りなのだろうという先入観を持っていて、「スリー・ミニッツ・ハッピネス」的な、「中国産で値段が安い分、作りもちょっと甘いけど、たまに掘り出し物もある」ようなものだろうと思っていたが、全く違った。世界市場を設定することによって実現した徹底的な合理化と、企業努力によって、「質の良いものを大量生産」して実現された低価格だったのだ。

レストラン

レストランまであった。2階の展示スペースを2~3時間うろうろすると、疲れる。おなかがすく。(もちろん、ソファーやベッドが所狭しと並んでいるので、休憩場所には事欠かないが)
そこで売り場へ移る前に、カフェとレストランが併設されているのだ。これも、ちょっとしたオマケサイズではなく、土日の家族連れが十分さばけるサイズのファミレス。大学の食堂のようなカフェテリア方式で人件費を削減し、ここでも低価格を実現している。味もなかなか良し。

マーケット

そして売り場。天井の高さに圧倒される。20mくらいはあろうか、いきなりドーンと倉庫(まさに倉庫)が目の前に広がっている。そこで、展示場でメモった棚番号を勝手に探して、レジまで台車で引きずっていくのだ。ここでも徹底的な人件費削減、合理化が図られているというわけ。

レストランで出されていたスウェーデン料理の食材を売るスペースもあり、まさに抜かりがない。僕は日本では手に入りづらい北欧スピリッツ、アクアヴィットを購入。家具を見に行って酒を買って帰るというのもなんだかおかしな話である。大山鳴動して酒一本。しかしイケアは「家具テーマパーク」と言ってもいいだろう。無目的にふらりといっても一日十分楽しめる空間だった。こりゃあ在来の家具メーカーが目の敵にするわけだ。

(櫻木)