オーストラリアと捕鯨問題

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捕鯨問題についてさらなる追記です。

オーストラリアの市民団体による常軌を逸した抗議や、環境テロ集団による狂気の「襲撃」の背景には、もちろんオーストラリア人が生まれながらに(ある意味“建国の理念”として)もっている差別意識、白豪主義が見え隠れするのは確かです。

しかし、前回紹介したように、それを政府が後押ししているとなると、やはりもうひとつの当たり前の事情…金の問題が丸見えになります。

オーストラリアでは、約2,800万頭(2006年現在)もの牛が飼育されています。また、生産する牛肉の65%以上を輸出する世界最大級の牛肉輸出国であり、その経験と技術が品質をしっかり支えています。さらに、オーストラリアにとって最大の牛肉輸出市場は日本。したがって、日本のお客様のさまざまな好みに合わせた牛肉を生産することができ、食文化の多様化に対応いたします。
オージー・ビーフ&ラム公式サイト オージー・ビーフの概要

日本は、オーストラリアにとって最大のお客さん。特に米国産牛肉のBSE問題以来、「オージービーフは天然素材で育てていて安心でヘルシー」というプロモーションも奏功し、輸入量はうなぎのぼりのようです。ジェトロのデータによれば、日本一国で、オーストラリアの総輸出量の20%をまかなっているのです。

    2004年 2005年 2006年
    金額(豪弗) 金額 金額 構成比(%)
日本  22,219 28,462 32,456 19.8
中国  11,014 16,127 20,376 12.5
韓国  9,171  10,959 12,321 7.5
米国  9,546   9,264 10,071 6.2
オーストラリア – 輸出統計(国別) – ジェトロ

これで日本人が鯨という超効率のいい動物性蛋白質を消費することを思い出したら…。そしてもし、日本が牛肉と完全に決別し、国家として鯨食を選択したら…。

もちろん、今の日本と日本人が、こんな非現実的な選択に踏み切るはずも、踏み切れるはずもないのですが、オーストラリア人は先の大戦で見た日本人の団結力の幻影に、未だにおびえているのかもしれません。

それにしても、日本から今後も金を引き出すために、捕鯨船を襲撃し、大使館で日の丸を汚し、日本を恫喝して、肉を売りつけようとする。ヤクザな商売ですね。

しかも、「草だけを食べさせるのでクリーンで健康的」と謳われるオージービーフは、それゆえにオーストラリアの砂漠化の原因ともなり、しかも日本の消費量が増えると牛肉の値段が上がり、オーストラリアの一般家庭にとってはまったくありがたくない話のようです。牛が排出するメタンガスによる温室効果も、無視できません。

オーストラリアというのはもともと真水の量が少なく、このために牧場では地下水を汲み上げては貴重な真水を使用してこれを牛の飼育に使ってしまうために、地中の水分が減少して砂漠化が振興してしまうということですな。
玄洋日誌: 牛肉の大量輸入によって背負わされる豪州への「代償」

オーストラリア産の牛肉を食べれば食べるほど地球環境が破壊され、オーストラリア人に憎まれる。鯨を食べれば、オーストラリア人に襲われる。

こうして考えると、私たちが何を食べるべきか、何を食べないべきか、どうやら見えてくるような気がします。

(櫻木)