時事問題

前回の「老人はきちんと譲られよ!」というエントリーで、「席を譲らなかった若者」の話を思い出しました。
これは、3年ほど前にネットで話題になったエッセイです。電車の中で、座っている若者に対して山登り帰りの老人が聞こえよがしに皮肉を言うところから始まります。

この人たちに気づいたのは、この高齢者組の男性が「最近の若い者は年寄りを立たせても平気なんだから」「ちょっと前は罪悪感からか寝たふりをしたもんだが、最近じゃ寝たフリもしないからふてぶてしい」などと、かなり大きな声で話しているのが耳に入ってきたからだ。どうも自分の前にいる若者に席を譲らせて女性2人を座らせたかったらしい。

ここまで嫌味っぽく言われると、まったく関係ない第三者の私だってちょっと気分が悪い。すっかり眠気が覚めてしまった。反対側にいる私が席を譲れば、もう1人ぐらい誰か立ってくれるだろうと思って腰を浮かせかかった瞬間、サングラスの若者が口を開いた。

「あんたたちさぁ、山は歩けるのに電車では立てないの? それっておかしくない? 遊んできたんだろ? こっちはこれから仕事に行くところなんだよ。だいたいさぁ、俺みたいなヤツが土曜日も働いてあんたたちの年金を作ってやってるんだって分かってる? 俺があんたみたいなジジイになったら年金なんてもらえなくて、優雅に山登りなんてやっていられないんだよ。とにかく座りたかったらシルバーシートに行けよ」
らくだのひとりごと: 席を譲らなかった若者

登山ブームの老年層

確かに、今登山を楽しむのって圧倒的に老年層が多いんですよね。ただ、これは中高年に登山ブームが…というよりも、若者が行かなくなったから何じゃないでしょうか。だいたい、定年後に金を暇が有り余っている老人が登山をして、その荷物を非正規雇用の若者が持たせて登る…という、現代の世代間賃金格差の象徴。

登山人口の推移

登山人口の推移


さすがに老人が遭難事故を起こしたから「メシウマ」とは言いませんが、確かに若者に登山を楽しむような金銭的・肉体的精神的余裕が無くなってきているのかもしれません。

崩壊した人口ピラミッド

人口「ピラミッド」

人口「ピラミッド」

若者が支えているのは登山の荷物だけではなくて、この人口比率を見れば一目瞭然、今後ますます若年層の負担は厳しくなり、現在の若者が老年層になるころには登山なんて優雅に楽しむどころではなくなっている可能性が非常に高いわけです。

だからどうする、というか我々に何が出来る、って言われるとつらいんですが…。
老人は席譲られたらにっこり座ってあげてね。だけど座れて当然と思って文句を言わないようにね。
あと若者はちゃんと三次元の嫁をもらって、なるべく子供を授かろうね…。

余談

とはいうものの、「そもそも結婚や子育てがまともにできるのか?」という根本的な問題があります。
会社の地位や政治家のポストとしては、そろそろ逆に老人から若者に席を譲っていただかないと、この先大変なことになると思います。
現在のロスジェネ層がそのまま歳をとった40年後には、老年層の貧困が社会問題化し、なおかつこの世代は若い頃から低収入だったために結婚も出来ず、少子化に拍車がかかり…。

(櫻木)