朝日新聞

皇居・宮殿「豊明殿」前のベランダにお立ちになる皇后陛下=宮内庁提供

奉祝 地久節

皇后陛下が本日10月20日、78歳のお誕生日をお迎えあそばしたことを、ここに心からお祝い申し上げる。
これからも幾久しくお健やかに、国民に慈愛の眼差しを賜らんことを願う。

そして、そんなめでたき日にこのような記事を目にし、かつ書かなければいけないことを非常に残念に思う。

問題は、朝日新聞デジタルに掲載されたこちらの記事である。

皇后さま、78歳の誕生日 陛下の回復「何より安堵」

【北野隆一、島康彦】皇后さまは20日、78歳の誕生日を迎え、宮内記者会の質問に文書で回答を寄せた。天皇陛下が2月に冠動脈バイパス手術を受けた後、「一時は本当によくなるだろうかと心配しましたが、春の日ざしが感じられるころからご回復のきざしが見えました」と振り返った。

皇后さまの文書回答全文

3月の東日本大震災1周年追悼式に陛下が出席できたことを、「何よりも安堵(あんど)しました」と述べた。陛下の健康を考え、毎朝一緒に散策するほか、食事に炒(い)り豆腐などの手料理を添えることもあるという。

ご自身の体調については「痛かったり、不自由の感じられる体」と表現。宮内庁によると最近、起床の際にかなり強い腰痛があるが、早朝、陛下と一緒に散策することで軽減するという。昨年夏に頸椎(けいつい)症性神経根症で左肩から左手にあった強い痛みは解消したが、現在も左指先に軽いしびれを感じるという。宮内庁は「長年お体を酷使された影響」として「これからはもう少し休養をとっていただくよう考えなくてはなりません」と述べている。

東日本大震災による2700人以上の行方不明者の家族の心労や放射能の影響下にある福島県の人々の不安を思いやり、「人々が安全で安定した生活ができるよう願います」とつづった。

ロンドン五輪やパラリンピックでの日本選手の活躍を「心楽しい興奮と、少し眠い数週間を贈ってくださいました」とたたえ、山中伸弥教授のノーベル賞受賞を喜び、「山中さんの研究に業績が重ねられ、難病の患者や苦しむ人々の幸せにつながるよう願います」と記した。シリア内戦取材中の山本美香さんの死亡を「日本の女性ジャーナリストの惜しまれる死」と悼み、大相撲での新横綱誕生に触れ「一人横綱を務めた白鵬関の長い間の苦労を思っています」とねぎらった。

5月開業の東京スカイツリーに触れ「陛下と散策中、ビルの上に少しずつ姿を現し、完成に向かう姿を見ました。大工事が大きな事故もなく終了し安堵と誇りを覚えます」と記した。

記者会は皇后さまに対する年1回の質問の機会である今回、両陛下の意向を受けて宮内庁が葬儀方法の見直しを検討することについて尋ねた。宮内庁の判断で回答は示されず、別の機会に伝えるとした。宮内庁は「質問は両陛下のご喪儀に関することで、皇后陛下の誕生を慶祝する日に適切ではない」と説明している。
朝日新聞デジタル:皇后さま、78歳の誕生日 陛下の回復「何より安堵」 – 社会”

御年78歳の地久節という晴れの日に、祝いの言葉もそこそこに、あろうことかご本人の「葬儀」の話を持ちだした新聞記者がいる
空気が読めないとかそういう問題でない、明確な悪意を感じる。
この記事では、質問をしたのがどこの記者なのかは明らかにされてはいない。

しかしそもそも、朝日新聞のこの、皇室敬語を一切使わない報道姿勢にも疑問を呈したい。
「皇后さまは20日、78歳の誕生日を迎えた。」「文書で回答を寄せた。」「天皇陛下が2月に冠動脈バイパス手術を受けた」
”さま”、”陛下”など、一応の敬称こそつけているものの、他は敬語一切抜きの「タメぐち」報道である。最高敬語である「お迎えあそばした」でなく、通常敬語で「お迎えになった」と書くことすら嫌っているのだ。(ついでに言えば、皇后の敬称も「さま」ではなく「陛下」が妥当なところである。)

こうした不敬を繰り返すならば、いっそ朝日新聞には皇室関係の報道を一切してもらわなくても結構、とでも言いたくなってしまう。

(櫻木)