日記

金曜日から月曜日まで、靖国神社で「みたま祭り」という祭りが開催されていることを知ったので、早速行ってきた。台風が通り過ぎるのを待っていたせいで、九段に着くのが5時近くになってしまったが。

みたま祭り
みたま祭り
御輿と献灯
御輿と献灯

着いてみると、予想に反して、というべきか、普通のお祭りだった。従軍経験者らしき老人もちらほら見かけるが、その膨大な人でのほとんどは近隣からやってきた若者達だった。普通にデートらしき若者や、連れ立って浴衣で着ている女子中学生など、あくまでも普通の若者が多く、「偏向マスコミがどれだけ煽っても、普通の人々の間ではちゃんと神社として‘信仰’が根付いているのだなあ」と感じた。

それにしても、靖国神社はやはり「面白い」。通常、お祭りでは神事と言ったら江戸、室町から続く由緒や伝統などがベースになっていることが多いが、靖国神社のご祭神は幕末以来の英霊。 どうしても新しいのである。そのせいか、参道から売店に至るまで、そこはかとなく明治~昭和の日本の近代の匂いを色濃く残している。

この祭りにしても、入り口近くには昔ながらの人力のお化け屋敷があり、大山のぶよの声をさらに4割ほどハスキーにひび割れさせたような声の老婦人が五七五調のキレのいい呼び込みをしていた。
その隣には見世物小屋があり、怪しげなピンクの色彩の前で、怪しげな白いスーツの男が「蛇女もご覧に入れましょう。お代は見てのお帰り」などと呼ばわっていた。

見世物小屋
見世物小屋
お化け屋敷
お化け屋敷

なんでも、ここは日本に二つしかない、日本最後の見世物小屋の片方なのだそうだ。(もうひとつは花園神社にあるらしい)
日本最後の見世物小屋
TOK’s fotolife – 恐怖!ヘビ女:見世物小屋 in 靖国神社みたままつり

ちなみに、出演者のオフィシャルサイトはこちら。
デリシャスウィートス
うーん、昭和レトロ。

懸雪洞

懸雪洞に見入る人
懸雪洞に見入る人

「光の祭典」みたま祭りと言えば、各界の名士達が書や絵を寄せるこの懸雪洞という提灯が名物だ。これは、四角い紙製の提灯の外側に墨や絵の具で書かれたものを内側から照らし、ずらっと並べたものである。
今年も一番目立つところにあったのは、入ってすぐのところにあった小林よしのり氏のものだった。

小林よしのりの懸雪洞

「攘夷」

そういえば先ごろ出た書き下ろし本『平成攘夷論』を読んだ。中身も良かったが、これはもうタイトル勝ちだろう。「そうかー攘夷かー。」と納得してしまった。
今にして、このタイミングで幕末期の愛国活動である「攘夷」というキーワードを持ってくるあたり、やはりなんだかんだいってこの人の時代感覚は相当鋭いものがあるように思う。

それともうひとつ、伊東四郎さんの書を紹介したい。

伊東四朗の懸雪洞
伊東四朗の懸雪洞

日本人は日本人らしく
男は男らしく
女は女らしく
子供は子供らしく
昔こんな時代がありました
素敵でしたよ。
 伊東四郎

力士達のものもあり、「ほうほう、琴欧州がどんなことを書いているのかな?」と見てみたら、毛筆で「琴欧州」と書いてあった。

さて、今回の裏テーマだった「戦争体験の聞き取り」は、全くの空振りに終わった。あたりは終始盆踊りやみこし担ぎ等の喧騒に包まれているし、ゆっくり話を聞けるような場所もないしで、ふつうにお祭りを冷やかすだけで帰ってきてしまった。

老人達は境内にある能楽堂で行われていた演芸の出し物のところに、いた。ただしそこでも、昭和歌謡や軍歌に聞き入っているのを邪魔するわけにもいかないので、一緒に2、3曲聴いて帰ってきた。
余談ながら驚いたのは、ゆうに90近いはずの彼らのかくしゃくとした姿勢だ。壇上に呼ばれた元海軍の老人は小走りで向かっていた。僕なんかは1時間くらい立って歩いただけで、もう足が痛くなっていたのに、席が無くてずっと立っている老人もいた。やはりあの強靭な足腰がないと、大陸を横断するような作戦は無理だったろうな、と実に感心した。

元海軍軍人
元海軍軍人

(櫻木)