コラム

言わずと知れた国民的人気まんが『ドラえもん』には、作者による幾多のアナザーストーリー(劇場版)や、幻の最終話などとは別に、ファンによるオリジナルストーリー(いわゆる二次創作)があります。

代表的なところでは、ネットでチェーンメールとして出回った次の2パターンを聞いたことのあるかたも多いでしょう。

・のび太植物人間版
(ドラえもんの話は実は全て植物人間状態ののび太が見ている夢、という救いようのない話。あまりに広がってしまったため、藤子藤雄先生自身が「ドラえもんをそのような悲観的な話にするつもりはない」と談話を発することに)

・ドラえもんの開発者はのび太版
(バッテリー切れになって動かなくなったドラえもんを、猛勉強してロボット工学博士になったのび太が修理するというストーリー。後に同人作家が漫画化してみたところ売れすぎたために小学館に提訴される)

しかし今回話題になっているこの作品は、そのオリジナリティと物語としての完成度、原作へのリスペクト度合いから言って、上記二篇をはるかに凌駕しています。

のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」

学生「どうかしました?野比先生」
のび太「ううん、何でもないよ。それより研磨は終わったかい?」
学生「はい。これでもうバリはないはずです」
のび太「本体側のインターロック回路も大丈夫?」
学生「はい、動作確認済みです」
のび太「よし。じゃあモータを駆動してみようか」
青い球体の中にギアボックスを収められるのを、のび太は少し離れて見守っていた。
ぶる速-VIP のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」

何気なく読み始めたのですが、ストーリー展開の巧みさにぐいぐいと引き込まれてしまいました。
『PLUTO』みたいなテンションで浦沢直樹に漫画化してもらいたいなあ。

(櫻木)