鳩山首相がきのう10月27日、所信表明演説を行ないました。いったい政権発足から今まで40日間、何をしていたのかと。
前内閣と比較してみると、そのスロースタートぶりは際立ちます。
麻生内閣 | 鳩山内閣 | |
9/16 | 鳩山内閣成立 | |
9/24 | 麻生内閣成立 年金関連法案提出 三六協定見直し案提出 |
国連総会出席 |
9/25 | 国連総会出席 | |
9/29 | 所信表明演説 第一次補正予算案提出 テロ特措法改正案提出 |
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10/3 | ファッションショー出演 | |
10/10 | 北朝鮮制裁延長 | |
10/16 | 第一次補正予算成立 | 過去最大の概算要求を発表 |
10/24 | 金融機能強化法改正案提出 | |
10/27 | 日印安保共同宣言に署名 | 所信表明演説 |
11/14 | 大陸棚拡張を国連に申請 | |
12/12 | 改正テロ特措法成立 改正金融機能強化法成立 |
ファッションショー……。
…いや、まぁ、過ぎた話はいいんです。ちゃんとやってくれれば。所信表明の中身の話に移りましょう。
鳩山首相の所信表明
40日間、練りに練っただけあって、かなりの長口上に仕上げてきました。中身は友愛的な美辞麗句で固められていて、鳩山邦夫に「少女マンガみたい」と揶揄されたりしていますが、私はそれはそれでいいと思っています。所信表明は、新首相がその決意やビジョンを表明するものなので、きれい事でも理想を述べる方がいいかもしれません。
しかし、鳩山首相。嘘はいけませんよ、嘘は。
総選挙において、国民の皆さまは政権交代を選択されました。これは日本に民主主義が定着してから、実質的に初めてのことです。
これは自民党政権が長く続いていたことを指しているのでしょうか。細川政権とか、これまでにも政権交代は普通に行われています。それをあえて無視しているのはなぜでしょう。殊更に自分のことを実際より大きく見せたいがためではないでしょうか。歴史上初の政権交代を成し遂げた総理だぞ!というハッタリ欲です。
戦前の日本には民主主義がなかったかのような言い方も気になります。この後、このたかが政権交代を明治維新になぞらえて「無血の平成維新」などと称していますが…。命をかける覚悟も、最低限の愛国心もない世襲議員が、言うに事欠いて「平成維新」。吉田松陰が聞いたら憤死するんじゃないでしょうか。
また、演説の中でことあるごとに「人間のための経済」と連呼していましたが、なんで「日本人」じゃないんでしょうね。日本の新首相が、不景気に悩む日本の民を前にして、日本人のための経済でなくて「人間のため」。さすがは「日本列島は日本人だけのものではない」と言い放っただけのことはあります。
しかし、薄っぺらな美辞麗句だけではありません。ちょっといい話もありました。障害者を雇っているチョーク工場の話です。
先日、訪問させていただいたあるチョーク工場のお話を申し上げます。
創業者である社長は、昭和34年の秋に、近所の養護学校の先生から頼まれて2人の卒業生を仮採用しました。
次の年も、また次の年も、養護学校からの採用が続きました。
(略) ある年、社長はとあるご住職に質問しました。
「文字も数も読めない子どもたちです。施設にいた方がきっと幸せなのに、なぜ満員電車に揺られながら毎日遅れもせずに来て、一生懸命働くのでしょう?」。
ご住職はこうおっしゃったそうです。
「ものやお金があれば幸せだと思いますか」。
続いて、「人間の究極の幸せは4つです。愛されること、褒められること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の3つの幸せが得られるのです」。
「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」、これは社長の実体験を踏まえた感想です。
いい話ですね。じーん…。勤労が人間にとって無くてはならない、尊いものであることを示すいいエピソードですね。
と思っていたら、これ、この間テレビでやった話の丸パクリだそうです。
経済ドキュメンタリードラマ「ルビコンの決断」、10月15日放送分です。
(2009年10月15日放送)
このところの不況で、給料もあがらず、業績もあがらず、「一体なんのために働いているのか」と悩んでいる人も多いという。
そうした中、従業員約70人のほとんどが仕事にやりがいを持ち、働く喜びを感じている企業がある。
神奈川県川崎市にあるチョークメーカーでトップの、日本理化学工業だ。
日本で始めて「粉の出ないチョーク」を開発し、今では「ガラスに書けるチョーク」というヒット商品までうんでいる。
この会社は、ほとんど途中でやめる社員はいない。
50年前に就職した65歳の女性は今もなお働き、勤続50年、ほとんど無遅刻・無欠席で、「仕事が楽しい。まだ働きたい」と笑顔で答える。
実はこの会社、従業員の70%以上が知的障害を持っているという。
どうしてこのような奇跡の会社が生まれたのか?
それは50年前に2人の知的障害を持つ少女が就職を希望して現れたことがきっかけだった・・・。
会社の経営と障害者の雇用、従業員の不満と経営者の苦悩、様々な困難を乗り越え実現した、奇跡の会社の50年間の感動のドラマを描いていく。<番組内で紹介した「4つの究極の幸せ」について 視聴者のみなさまから多数の問い合わせがありました。
以下が日本理化学工業の工場の前の石碑に記されている文言です>導師は人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、
人の役に立つこと、人から必要とされること、の4つと言われました。
働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ。
私はその愛までも得られると思う。
経済ドキュメンタリードラマ「ルビコンの決断」:テレビ東京
まんまパクリじゃないですか。
首相動静によると、この番組の放送後、10月20日に鳩山首相はこのチョーク工場を訪れ、30分だけ視察したそうです。「テレビで見ただけじゃありませんよ」というアリバイ作りか。
本っ当に薄っぺらだな、鳩山首相。
(櫻木)
最後のチョーク工場の話で泣きました……。 鳩山首相の所信表明が非常に残念な件@朱雀式 http://bit.ly/3lWc64