久しぶりに空手の道場へ行き、汗を流してきた。しかし、どうにも気分が晴れず、もやもやしている。
理由は分かっている。組み手稽古で3本中1本もとれず、翻弄され続けていいようにあしらわれたせいだ。相手は黒帯、こっちは色帯。実力に差があるんだから仕方ないさ。そうやって自分を慰めることもできよう。しかしそうもいかぬのが大和魂。
次はせめて一本くらいは取れるよう、攻撃について反省してみたい。
1.機先を制する
「最初は様子を見て…」と思っていると、100%先手を取られる。武道に於いても攻撃は先へ先へと仕掛けていくもので、後手に回っては何もできない。まして実力差があるならなおさらだ。
次は開始と同時に突っ込んで、最速で上段突きをしかけよう。
2.目をそらさない、つぶらない
相手が攻撃に移る瞬間、どうしても身が硬くなってしまう。しかも目をつぶってしまっていた。これではどうぞ打ってくださいと言っているようなものだ。面を付けているにも関わらず、恐怖は反射的なものだ。とはいえ、訓練によって反射や本能さえ管理できるのが人間のはずだ。
次はどんな攻撃が来ても、目をつぶらず受ける。
3.攻撃は捨て身でする
射程の違う武器をもっての戦いならいざ知らず、お互い同じ素手の人間なので、自分の攻撃圏内は相手の攻撃圏内でもある。そう考えると、相手が間合いを詰めて来たときは、敵の攻撃チャンスであるのと同時に、こちらの機でもあるわけだ。しかし黒帯はスピードもディフェンスもレベルが高いので、ほとんどこちらの攻撃を意に介さず飛び込んでくる。
それに対してこちらが攻撃するときに、敵の攻撃を恐れるあまり、間合いの外からへっぴり腰で突き蹴りを放って、当たるわけがないのだ。
かつて新撰組副長、土方歳三は、函館へ向かう艦上、幕軍将士にこう訓戒したと言う。
「真剣は柄で切るつもりで切り込め」
お互い真剣を手にして対峙したとき、どうしても恐怖心が先に立ち、切ろうとしているつもりでも全然間合いに入れない。むしろ柄で切るようなつもりで踏み込んでこそ、初めて有効な攻撃となるのだ。
彼我に圧倒的な実力差がある状況なら、なおさらだ。次は相手の反撃もカウンターも考慮せず、一度は捨て身で飛び込もう。
(櫻木)