オーストラリアと捕鯨問題

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オーストラリアの反捕鯨運動は、一部の狂信的な民間団体による勝手な行動ではなく、オーストラリア政府の肝煎りによって行なわれている。
その抗議運動の実体は、海域に船を出す妨害活動やデモ運動だけでなく、「テロ」としかいいようのない暴力的・破壊的なものだった。
昨年に展開された、海洋テロ集団『シーシェパード』による襲撃は、例えば次のようなものだった。

■救助協力した船を襲撃

 「シーシェパード・コンサベーションソサイアティ」によるテロまがいの襲撃は2月9日に起きた。シーシェパードは「グリーンピース」創設者の1人がつくった、より過激な組織。過去にアイスランドやノルウェーの捕鯨船を何隻も沈めている。

 この日はまず、ロバートハンター号(1017トン)が日本の調査母船・日新丸(8030トン)の数メートルまで異常接近し「悪臭を放つ薬品入りガラス瓶」「発煙弾」を投げ込んだ。さらに、日新丸のスクリューへの絡まりを狙い、ロープや網を流す一方、発射銃で救命索をスクリュー目掛けて撃ち込んでもきた。その結果、日新丸の2乗員が左目と顔面に化学熱傷を負った。その後も、ロ号と僚船ファーレイモアット号(6 57トン)から発した大型ゴムボート2隻が執拗(しつよう)に追ってきた。

 と、そのとき-。シーシェパード側から「乗員が落水。救助を要請する」と、日新丸に国際救難信号(メーデー メーデー メーデー)が送られてきた。調査団は人道的見地とシーマンシップにのっとり、遭難者捜索を開始。結局、ファ号が遭難者を発見し、惨事は免れた。ところが、「救助活動に感謝する」と打電してきたにもかかわらず、再び攻撃を宣言、接近してきた。日新丸は幸い、9時間以上にわたり襲撃を繰り返し続けた両船を振り切れたが、救助協力した相手を襲撃する心理は異常だ。
「【今、何が問題になっているのか】豪州軍は「テロ」に手を貸すのか」

環境保護を旨とする団体だったはずが、ロープや網を海に投棄し、環境を破壊している。それどころか、薬品入りの瓶や発射銃による攻撃など、実際に人的被害を出すような攻撃をするに至っては、比喩ではなく「テロ集団」と談じざるを得ない。

テロリズム [terrorism]
一定の政治目的を実現するために暗殺・暴行などの手段を行使することを認める主義、およびそれに基づく暴力の行使。テロ。
(三省堂提供「大辞林 第二版」より)

シーシェパードの攻撃はまだまだ加速する。

 一方、鯨類資源調査船・海幸丸(860.25トン)は2月12日、9日の海域とはかなり離れた位置で調査中だった。しかし、ロ号が流した網とロープがスクリューに絡み、航行不能に陥った。当然、海幸丸は海賊に攻撃された際の国際救難信号を発信した。なおも、ロ号は発煙弾を投げ込みながら海幸丸への体当たりを続け、船体を大きく傷付けた。ついに、海幸丸はロ号とファ号にはさまれ停船させられたが、発煙弾投下と体当たりは止まなかった。だが、調査船団を2カ月近くも捜索し、さらに5時間以上も襲撃を続行したため、ロ号とファ号は燃料切れをきたし、海幸丸は難を逃れた。

 一連のテロまがいの過激行為に対し、近隣諸国は取り締まるどころか、支援している。例えば、豪環境相は日本の調査捕鯨非難に留まらず、シーシェパードの代表に激励の電話を入れ、緊急時に自国の南極基地を使用させる旨の発言をした。さらに、港湾都市フリーマントルは昨年7月、ファ号を母港として歓迎。豪政府の“庇護(ひご)”の下、シーシェパードは豪州内で調査船団襲撃に向けた募金活動も始め、有力ビール会社など多数のスポンサーを得た。

なんと、批判するどころか、環境大臣が激励しているのだ! 他にも政府方針として、日本政府に対しては豪税関の巡視船「オーシャニック・バイキング(Oceanic Viking)」号を使用して、国際裁判所などへの提訴を視野に捕鯨に関する証拠を集めると警告している。「海の海賊」号…。この国にしてあの団体あり、である。

それで、襲撃スポンサーとして得た有力ビール会社と関連しているのが、例の人種差別CM「日本人を殺して、反捕鯨ビールを飲もう!」なわけだ。(参照)なるほどね。

(櫻木)