台湾、国民党に逆戻り。
与党・民主進歩党の謝長廷候補は、中国チベット自治区で起きた騒乱を中国当局が「武力弾圧した。(対中融和路線の)国民党が勝利すれば台湾はチベット化する」と批判。
↑チベット問題で民進党(独立派)に追い風が吹くも…。
中国の対台湾政策はこれまで「独立の動きをいかに食い止めるか」を中心にしてきたが、「馬総統」の誕生で「関係改善交渉をいかに始めるか」に大きく転換されるとみられる。
↑結局は国民党(大陸寄り)が大差で勝利で中共安堵。
22日の台湾総統選で圧勝した最大野党、中国国民党の馬英九・次期総統は23日、台北市内で海外メディアと会見し、「中国訪問は近い将来に実現する」と経済協力を突破口とする中台関係の改善に意欲を示し、胡錦濤政権と和平協定の締結を目指す方針を確認した。
↑「和平」という名の融合が始まります。
台湾人の民度
一部日本人の細々とした努力や願いもむなしく、台湾は民進党から、また国民党政権に逆戻りしてしまった。
(台湾の「民進党」「国民党」といっても、今ひとつぴんとこない人も多いかもしれないので、台湾の歴史と政治状況について簡単に説明を。
台湾は終戦まで日本の一地方だったが、戦後支那大陸から落ち延びてきた蒋介石(国民党)に征服され、戒厳令下激しい弾圧と虐殺に苦しめられてきた歴史がある。80年代になってようやく戒厳令が解かれ、台湾独立派のリーダーとして台頭したのが李登輝総統、そしてその路線を引き継ぐ民進党だったのである。)
僕も今月、民間外交と台湾総統選の空気調査という名目で台湾に行ったが、僕が話を聞いた人の大部分が「馬氏に投票する」と言っていた。その理由は大体次のようなものだった。
・謝さんはいつも怒っているみたいで…
・馬さんは物腰が柔らかいから好き
・中国が武力侵攻してきたらこまるから、馬さんに仲良くしてもらう
こんなもんである。
民進党の謝候補は、元・台北市長で政治的手腕や実績が評価されているものの、見栄えはあまり洗練されておらず、どちらかというと口下手である。それに対して、国民党の馬候補は、女性にも人気の出そうなダンディな風貌で、公開討論などでもあくまでもソフトな雰囲気で、大衆人気を獲得していた。
ほとんど、日本でタレント候補が当選してしまう状況と同じようなものである。海峡を挟んで覇権主義国家と相対し、戦争の危機と常に向かい合っている台湾ですら、所詮この程度の民度なのである。
選挙制度を再考する
日本でもたまに首相公選制などが論議されることがあるが、とんでもない。そんな大事な選挙は、よほど日本の将来や政治について真面目に考え、ある程度勉強している人でないと投票してもらっては困る。
そもそも国会議員選挙についてだってそうだ。実は僕は現行の普通選挙制度には反対である。ちゃんと候補を研究し、政治について考えている人の一票と、その場で顔を見て適当に選んでいる人の一票が同じ価値を持つのは困る。タレント候補がいつも当選する現状を見れば明らかなように、よほど成熟した社会でないと、普通選挙はたやすく衆愚政治に堕する。
運転免許のように、ある程度の基準を設けたテストに合格しないと、選挙権が得られないという制度はどうだろうか。まずは投票の前に、簡単なマークシート式のクイズに正解してから、という簡易的なものでもとりあえずはいいと思う。
選挙権は特権でいい。
(櫻木)