コラム

昨年、穀物価格が上がり、こんな論調の意見がメディアで多く見られました。
「小麦の価格上昇でパンやパスタ、ラーメンの値段が上昇。庶民の生活を直撃。」
これは一例です。

庶民の財布ますます軽く パスタ値上げ止まらず 家庭用、今夏に一段高の可能性 小麦価格、前年の3倍

スパゲティやマカロニなどパスタ製品の値上がりが止まらない。原料のデュラム小麦は、一般小麦に比べ供給量が少なく価格が上昇しやすいためで、家庭用パスタは今夏に一段と高くなる可能性もある。

国内パスタの主原料であるカナダ産デュラム小麦は、世界的な需要増やバイオ燃料への転作などで価格が急騰。「前年比約3倍で推移している」(業界筋)という。
庶民の財布ますます軽く パスタ値上げ止まらず 家庭用、今夏に一段高の可能性 小麦価格、前年の3倍 / 消費者ニュース 値上げ↑・値下げ↓ / 西日本新聞

「うどん・お好み焼き等のいわゆる小麦製品て庶民の味方じゃないのかよ? 高すぎる…。 殺す気か…!? 」

正直言って、「ハァ?」である。
パンがなかったらお米を食べればいいじゃないの。というかもっと米食おうぜおまえら。
あんパン一個食べて110円カップラーメン一個食って150円ご飯炊いて食べれば一杯30円弱。健康にもいい。
マスコミが取り上げる“庶民“はみんなこんな簡単な計算もできない人ばかりなのでしょうか。

ここからはJA山形のお米ハカセにご登場願います。

Q:お米のねだんを、もっと安くできないの?

A:こんな質問が出るところを見ると、君はお米のねだんが高いと思っているのかな? それじゃ、みなさんにぎゃくに質問です。

まずお米のねだんですが、庄内平野でつくられいている代表的な品種「はえぬき」で考えてみます。ごはん1杯のお米の量は、精米(せいまい)でおおよそ60グラムくらいとされていますが、今のはえぬきの市場価格はだいたい10キログラム( 10,000グラム)で4,600円ですから、ごはん1杯は、4,600円÷10,000グラム×60グラム=27.6円となります。みなさんがごはんを毎日何杯おかわりするか知らないけど、2杯食べても約55.2円です。これに対して、たとえば缶入りコカ・コーラ1本は 120円ですが、みなさんは、これとくらべてお米は高いと思いますか、それとも安いと思いますか? ポテトチップスは、定価が1袋140円くらいですが、これとくらべてお米は高いと思いますか、それとも安いと思いますか?
お米のねだん

ハカセ、ブチ切れ。

いや、計算ができないはずはないんです。ただ、「殺す気か」とか言ってる人は、日本人の主食が小麦だと思ってしまっている。そうでないにしても、主食がパンになってしまっている人、なのだと思います。
いずれこの問題については、健康ブログ・朱雀式の総力を挙げて取り組もうと思っていたんだけど、ハカセがこの問題についてもバッサリと批評しているので、もう一度ご登場いただきます。

戦後、お米や農産物を作る労働力が極端に減ってしまい、日本人が食べる分のお米を作ることさえ、できない時代があったのです。

アメリカはこうなることを予測し、当時から小麦を積極的に日本に輸出し、日本人にパン食の習慣をつけることを、強力にあと押ししてきたのです。しかしこれはただ単に、アメリカが自国内であまってもてあましていた小麦を、強制的に日本に売りつけただけに過ぎず、けっして食料不足になやむ日本を助けようと思ってやったことではないのです。

その結果、昔からの日本食は衰退し、君たちの中にもたくさんいるかも知れませんが、パン食をする人たちが増え、お米の消費量がどんどん減ってしまったのです。もちろん、ラーメンやスパゲッティなど、ほかの小麦製品に移り変わっていったこともありますが、そもそもは、アメリカの小麦輸出政策によるものなのです。そして減ってしまったお米の消費量はその後、今日にいたるまで上向くことはありませんでした。

現在、日本人のお米の消費量は1年間に60数キログラムくらいですが、これは戦前の半分程度でしかありません。つまりアメリカの戦略にまんまと乗せられ、食文化さえもアメリカの都合の良いように変えられてしまったのです( アメリカは小麦をたくさん作っていますから、当然小麦を外国へたくさん輸出してお金をかせぎたいわけです)。
そのほかの「う~む」な質問

これを、アメリカ憎しの陰謀史観と笑うことなかれ。戦後、アメリカはあらゆる手を使って日本を弱体化させ、永久にアメリカに隷属させようとした。その中にこの穀物戦略もあったわけです。
アメリカの余剰農産物処分法の成立によって日本の学校給食がスタートし、アメリカの広告宣伝によって「米を食べると頭が悪くなる」「米を食べていたから日本は戦争に負けた」というようなトンデモ論文が、東大教授の名前で堂々とメディアに跋扈しました。

そして子供の頃からパン食で育てられた人間は、大きくなってもパン・小麦食で生活するようになります。それが親になれば、その子供も同じようにパン・小麦の食生活になる。こうして日本人の「餌付け」が完了するというわけです。

文明、民族性は食文化なしには語れません。人類文明史が始まって以来、ここまで短時間に主食を「変更」した(させられた)民族はありません。
まあ、パンはパンでおいしい。僕も、パンをおやつに食べることはあります。しかし、基本的に工場で作られるパンには、色々な添加物が使われていますし、日常的に食べるには糖分や油脂分も多すぎます。そもそも、小麦のグルテン自体が、健康にあまり良くない。

日本人のアイデンティティや食料自給率も大事ですが、それ以前に、単純に財布にも健康にも優しいお米を、皆さんもっと食べましょう。
以上、松浦亜弥からのお願いでした!

めざましごはん

めざましごはん

参照リンク

livedoor ニュース – 値上がりしたパンや麺をやめ ご飯に切り替える人急増
ぶる速-VIP JA山形に下らない質問してマジギレさせた奴ちょっとこい

参考書籍

6つの生活習慣でガン・難病を治す

「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活

粗食のすすめ

(櫻木)