終戦記念日に行なった靖国神社での取材では、多くの老人、元皇軍兵士に話を聞いた。
老人たちは、総じてしゃべり好きだった。昔話なんて、しようとしても孫たちには疎まれてしまったりもするものを、わざわざ「聞かせてくれ」と言われると、たぶん嬉しいのだろう。ほとんどの老人達が、その場でたくさんの話を聞かせてくれた。
しかし、全ての人がそうではなかった。
一番印象に残っている老人の話は、一番話の短い老人だった。彼は僕の問いに、こう答えた。
――すみません。戦中・戦後のことを個人的に調べてまして、よかったら昔話などお聴かせいただけませんか?
「…フン(苦笑)。あまり話したくないね。」
――え? あ、すみません。
「…ちょうど62年前の8月15日。午後5時。宇垣纏中将以下、5機の飛行機が大分の飛行場から飛び立った。
みんな知覧、知覧、(鹿児島の陸軍特攻基地)言ってるけど、実際はもっと沢山飛んでいた。陸軍だけじゃない。海軍航空隊。
…そういうこと。」
老人はそれだけ言い残すと帽子をかぶり直し、直射日光と雑踏の中に歩いていった。
・参照リンク
宇垣纏 - Wikipedia
知覧特別攻撃隊
