チベット弾圧問題

日本ではなぜかほとんどメディアで報じられないチベット問題。そこでは、「人権問題」などという薄っぺらい表現ではとても追いつかない、今世紀最悪のまがまがしい国家的犯罪が、今なお進行している。

中華オリンピック絶対反対

いよいよ北京五輪まであと1年だそうだ。NHKでは女性リポーターが「祝賀ムードに包まれた、ここ天安門広場からお送りしました!」と陽気にはしゃいでいた。わずか18年前に、民主化を求める市民を戦車で轢き殺した広場から、である。

一体、本当に五輪大会は開催されるのだろうか。いまだに僕は半信半疑である。いや、開催させるべきでないと信じている。
中国に平和の祭典であるオリンピックを開催する資格は全くない。国際社会が一致団結して、このまがい物国家の開く五輪へのボイコットをしなければ、歴史に汚点を残すことになるだろう。

その汚点たるや、ナチスのプロパガンダと国威発揚に利用されたベルリンオリンピックの比ではない。中国では、現在進行で民族浄化が行われている。この21世紀に、である。

民族浄化とは、虐殺、収監によって、「地球上から一民族を消し去る」という、狂気の国家的蛮行である。この人道に対する犯罪行為を、本当に実行した国は二つしかない。ひとつが、第二次大戦時のナチスドイツ。ユダヤ人をガス室に送って計画的に虐殺し、種としての断絶を計った。

そして、もうひとつの民族浄化国家が、中国である。

チベット民族絶滅作戦

映画『セブンイヤーズ・イン・チベット』にも描かれたように、中共は、チベットに「人民解放軍」を送って武力で支配し、虐殺している。
チベット仏教に弾圧を加え、抵抗する民衆を殺し、収容所に監禁して拷問を加え、棄教を迫っている。男に対しては断種手術(生殖器切除!)まで行ない、女は「強制交種」として人民解放軍に強姦させ、漢人との混血児を産ませることによって「チベット民族」をこの世から消去しようとしている。

民族固有の宗教は、抵抗運動の団結の支えともなる。そう考えた中共は、徹底的にチベット仏教を弾圧した。破壊した寺院の跡地には毛沢東の巨像や移民の漢人のための商業施設が建てられた。

チベット仏教と僧侶達の威厳を失わせるため、公衆の面前で殴り、官憲の小便を飲ませ、果ては僧と尼僧が道端で交わることを強制され、抵抗すれば殺された。棄教しない僧侶達は捕らえられ、彼らが命より大事にしている仏像の重みで絞首刑にされ、尼僧は局部に電極を挿し込んで感電死させるなど、あらゆる残忍な方法でチベット僧の尊厳と命とが奪われた。

中共政府により虐殺されたチベット人の数は120万にも及ぶ。チベット民族の数を減らすのと同時に、漢人に多額の補助金を出して移民を奨励している。2年前に開通した「青蔵鉄道」を使って、おびただしい数の漢人が流れ込み、今ではチベット人は15万人、漢人は20万人で、すでにチベット人は少数派に転じている。
1949年から今までに虐殺されたチベット人の数は、120万人以上といわれている。人類史上、かつてこれほどまでに大規模に、かつ計画的に行なわれた虐殺があっただろうか。

日本で報道されないチベット人虐殺

そんなチベットからは、法王ダライ・ラマの亡命政権があるインドへ向かい、国境を越える巡礼者が後を絶たない。彼らはもはや生きる術も希望も失い、せめて法王に一目だけでも触れることが人生の最後の目的にすらなっている。

そんなチベット人巡礼者を、国境にいる中国人民軍が、射的の練習でもしているかのように、撃ち殺すのだ。

YouTube – 中国軍がチベットの巡礼者を無差別に撃ち殺す映像

この驚くべき殺人動画の中で、さらに驚いたことには、仲間が撃ち殺されても一顧だにせず、レミングスのように静かに歩いていくチベット人の姿である。事件の全てが無表情で、静かに通り過ぎていくのだ。

思えばチベットに中国が侵攻し、虐殺と破壊の嵐が吹き荒れてから、すでに半世紀が経つ。ダライ・ラマが亡命したのが1959年、以来世界に中国の非道と民族の悲劇を訴えかけているが、「内政問題」と言い張る中共の言葉を真に受けてか、国際社会が表立った対応をしたことはない。

おそらく、チベット人は絶望しきっているのだろう。いまさら自分達が声を挙げたとて、誰も助けてはくれない。世界はチベットに関心を持っていない。この半世紀というもの、どの国も何もしてくれなかった。

そんな深い絶望と悲しみが、従容として死の旅路を行くチベット人の姿から伝わってこないだろうか。

今こそ北京オリンピックのボイコットを

日本は、60年前のありもせぬ虐殺捏造談話に付き合って、中共政府に軍事費を援助している暇があったら、この現実に侵攻している虐殺問題をもっと声高に指弾するべきである。そして、覇権的軍国主義に対抗する西側諸国として、五輪ボイコットの先陣を切ってはどうか。

(櫻木)