先日、渦中の人ダライ・ラマがアメリカ訪問の途上で来朝した。中共の御用聞きと化している日本のマスコミも、さすがに無視せざるを得ないので、及び腰でおっかなびっくり会見が行なわれた。
ダライ・ラマの日本での発言
そこでのダライ・ラマ師の発言がこれだ。
私はチャイナがオリンピックを開催することを支持している。
サンフランシスコのチベット人よ、どうか暴力だけはやめてくれ。私は反チャイナではない。
チベットは「中華人民共和国」の一部であると思っている。
しかしもっとチベットの状況を改善して欲しい。
また、アメリカではこう発言している。
「暴力が制御不能になったら私の選択肢は辞任しかない。」
「私がチベットの独立や分離を求めていないことは全世界が知っている」
「我々の闘争の相手は少数の中国政府指導者であり、中国人全体ではない」
ダライ・ラマの胸のうち
中国にオリンピック開催の資格がある? チベットは中国の一部? 勿論、ダライ・ラマが本心から喜んでこんなことを言うはずがない。言う、はずがないではないか。
これまで自由を求めるチベット人の声はそのたびに軍靴で踏みにじられ、信仰の自由は戦車の下敷きになり、男は断種、女は強姦され、民族の危機に瀕している。
そんなチベットの民のより所、チベット仏教の最高指導者がダライ・ラマなのだ。誰が喜んで中国を支持したりするものか。
しかし、自らはインドに亡命している身。そのダライ・ラマをしたって亡命しようとするチベット人は、国境で中共軍兵士に見つかってネズミのように射殺されている現状。
ダライ・ラマは考えたのだ。民族の誇りも独立も、まずは命あっての物種、と。今や冗談や比喩ではなく、チベット民族自体がこの世から抹消されようとしている。先の発言は、まずは生き残ることが先決だ、と考えたダライ・ラマによる苦渋の選択に思える。実際、シアトルでの会見の後、ダライ・ラマは
「このままでは、中国政府がさらに武力行使を強め、チベット人への抑圧を一段と強化するだろう」
と不安を露にしている。
ダライ・ラマにとってみれば、人民を中共に人質に取られている格好だ。実際、ダライ・ラマが活仏の後継者として指名したパンチェン・ラマは、まだ少年の頃に中共に誘拐され、未だに消息不明である。中共がこの後継者を抹殺して、チベット仏教の正統性、連続性を絶とうとしているのは聖火を見るより明らかである。
想像してみて欲しい。日本列島が中国に支配され、皇太子殿下が監禁され、天皇陛下がハワイの亡命宮城にあらせられるとしたら…。
そんなダライ・ラマに対して、日本の政治家が何をしたかといえば、アッキー前総理夫人と、自民党の太田誠一なる人物が会ってきただけである。しかもこの太田氏は「自民党人権問題等調査会長」だそうで、さぞかし痛烈に支那の人権侵害を批判し、チベットを擁護してきたのかと思いきや…。
「どの国の指導者も自国内で人権侵害が行われていないことを証明する責任がある。チベット独立問題は中国の内政問題だ」との認識を確認。太田氏は文書として党人権問題等調査会に報告する。
なんだその世間話は!? 弾圧・虐殺を受けている側の張本人がいるのに、「行なわれていないことを証明する責任が」じゃないだろう。 「日本の政治家は中国を恐れて、ダライ・ラマに誰も会いに行かなかった」と言われないためのアリバイ作りだったんじゃないかとすら思えてくる。
まあ、河野洋平のような骨の髄まで腐った中共の奴隷よりマシなのかもしれないけどさ…。
※河野洋平の奴隷伝説
1995年、国際会議に出席の途上、台風の影響で乗っていた飛行機が台湾に緊急着陸したが、搭乗機から一歩も出ず離陸。会議で中国外相に会って「私は台湾の土を一歩も踏みませんでした!」と誇らしげに報告し、中国の嘲笑と世界の失笑を買った。)
(櫻木)