国際関係

金正日きんしょうにちがいよいよヤバいらしい。これまでも何度か重病説がささやかれてきたが、今回は本当かも知れない。毎年必ず出席していた、「建国記念」の軍事パレードに姿を見せなかったというのだ。

 【ソウル中島哲夫、ワシントン小松健一】北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の健康悪化情報が次々に流れている状況を受けて、韓国の李明博(イミョンバク)大統領は10日朝、各部門の首席秘書官を集めて緊急会議を開いた。聯合ニュースは韓国政府高官の話として、金総書記の身辺に異常があったのは「ほぼ確実」だと報じた。

 北朝鮮建国60周年の9日、金総書記の閲兵式欠席が確認されたのを機に、韓国では同日夜から総書記の重病説が乱れ飛んでいる。

 朝鮮日報などによると、金総書記が8月22日に健康悪化で倒れた▽中国の医師5人が訪朝▽仏、独の医師団も平壌入り--といった未確認情報がある。

 ニュース専門テレビYTNは10日朝、金総書記の病状が深刻だと中国当局者らから聞いたという北京の消息筋の証言を伝えた。中国当局は8日に平壌から戻った医師らから金総書記の病状を聴取したとしている。

 金総書記の状況については主に米国発の情報が流れている。10日付の中央日報は金総書記が「数週間前に脳卒中を起こし現在、半身不随状態だが、意識はある程度ある」という在米外交消息筋の証言を伝えた。だが詳細な病状や、どこでどんな治療を受けているかは不明だとしている。
北朝鮮:金総書記の身辺異常「ほぼ確実」 韓国、緊急会議 – 毎日jp(毎日新聞)

金正日きんしょうにちに重病説がにわかに持ち上がっているが、実はちょっと前に北朝鮮ウォッチャーで有名な大学教授が週刊誌で「死亡説」を唱えていた。

記事によると、重村氏は「金正日ファミリーから近い複数の人物」から

「金正日総書記は、持病の糖尿病が悪化して、00年初頭ごろから車いす生活を余儀なくされた。そしてついに03年秋に死去した」

といった情報を得たのだという。

その根拠として、金総書記は00年ごろには活発に外国訪問などをこなしていたが、その後はペースが激減したことや、死亡したとされる03年秋は、9月9日から10月20日まで、動静が報じられなかったことなどを挙げている。現在表舞台に登場している金総書記は「ダミー(影武者)」で、02年8月に金総書記がロシアを訪問し、9月に小泉首相(当時)が平壌を訪問したときも

「体調が悪かった金総書記は、綿密に指示を与えたうえで、プーチン大統領及び小泉首相のもとにダミーを向かわせた」

のだという。そして、今の北朝鮮は、金永南・最高人民会議常任委員会委員長ら「4人組」による「集団指導体制」なのだという。
J-CASTニュース : 重村早大教授が唱える 「金正日すでに死亡」の真贋

まあ週刊誌ソースだし、金正日は各国の情報部がかなり徹底的にウォッチしているので、その情報自体の信憑性が疑われていたわけだが(それを言ったら冒頭のソースは毎日新聞なのでもっと疑わしいが)、この度それが本当になったというか、実は死亡説も本当だったのかも知れないというか、にわかにあわただしくなっている。

まああんな、自領土内では貧困と恐怖を、周辺国には強請りと災厄と公害しかもたらさないような、しかも美観や美意識のかけらもない最低の独裁者は一刻も早くいなくなってほしいものだけど、もしも「すでに死亡説」が本当だとすると、あのモジャデブがいなくても、北朝鮮の現在の「先軍主義」体制にはそれほど影響がないということなのだろうか。

「北朝鮮」は国ではない

それにしても、なぜ国内のニュースソースはいちいち金正日に対して「総書記」などと仰々しい肩書きを付けてお呼び申し上げているのだろうか。
日本では、金正日は拉致を指揮した責任者として認識されている。この拉致問題は未だ解決されておらず、金正日は「金容疑者」と呼ぶのが正しい。

しかも日本国は、北朝鮮を国家として承認していない。そもそも北朝鮮の現体制などは、あの辺り一帯の馬賊の親玉だった金日成にスターリンが金子を与え、「抗日戦争のパルチザン」という1秒でバレる嘘で作り上げた国家もどきである。
それをいちいち大げさに「国家」として論じるのは、数年前にオウム事件の報道で「村井科学技術庁長官」とか「青山宣伝相」とか言ってるのと全く同じで、滑稽と言う他ない。

それでも、数年前はどこの局のキャスターも
「北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国は…」
といちいち言い添えていたことを考えると、「北朝鮮」の一語で済ませられるようになったのは一応の前進と言えるのだろうが…。

(櫻木)