Web論

最近、MovableTypeからWordPressへ移行する人が増えているようです。
Google Trendsで世界的な検索傾向を見てみても、どうやらMovable TypeからWordPressへのユーザーシフトの潮流があるようですね。

この要因には、MTのライセンス料問題(一度高いライセンス料が設定され、批判を受けて撤廃した問題)や、バージョンアップ時の仕様変更等による設置、カスタマイズの敷居の高さなどもあるかもしれません。

しかし! 私は声を大にして言いたい。Movable Typeは誤解されている、と。

Movable Typeは再構築しなきゃいけない?

しかし、移行を検討している人、移行した人が口を揃えて言うのは、次の二点です。

  • 再構築が無くて快適
  • オープンソースだから無償

ここで私は声を大にして言いたい。この2点は、WordPressだけの特性ではない。Movable Typeだって両方とも対応している!

1点目の「再構築」ですが、これは基本的に従来型のブログ、CMSだと、ページを1ページずつHTMLファイルとして作成するために時間がかかる。記事も200~300個程度だといいんですが、2年、3年と運営してログが増えてくると、再構築に10分以上かかったりする。

これに対して、WordPressやMovable Typeが備えているリアルタイム方式、ダイナミック・パブリッシング方式というのは、システムが動的にページを生成する(Webメールや掲示板と一緒です。system.cgi?page=1234 というような形式)のですが、それを従来のhtml型と同じようなURLにして見せている、という仕組みです。

Movable Typeは、スタティック(静的HTML型)でもダイナミック(動的CGI型)でも両方できます。WordPressはダイナミックにしか作成できません。
しかし、Movable Typeの場合、スタティックがデフォルトになっているせいか、これを知らない人が多すぎる。
「Movable Typeって…。今時再構築でしょ? やってらんないよ」と。
それは違う! Movable Typeにも再構築不要にする設定がちゃんとあります。僕が使い始めた3.2の時にもすでにありました。

WordPressはMovable Typeと違ってオープンソース?

これも実は違うんですね。Movable Typeは今までも、限定的に無償の個人用ライセンスを用意していましたが、それとは別にMovable Typeもオープンソース版を最近作ったんです。
MTOS: Movable Type オープンソース・プロジェクト | MovableType.jp
これも意外と知られてないような気がするなあ。
世界的には「子供の草野球チーム用のブログでも500ドルいただくぜ」というヤクザな宣言(のちに撤回された)と、日本では企業用CMSの印象が強すぎるせいでしょうか。

Movable Typeの強み、WordPressの強み

Movable Typeは、データベースの選択肢、動的/静的生成の選択肢が細かいので、幅広い環境に対応できること、これまでの資産があることが強みでしょうか。(テンプレート、プラグインなどはメジャーアップデートによってチャラになる部分もありますが)

WordPressの強みは、総合的に「レスポンスが早い」ことでしょうか。もちろん動的生成の快適度を含め、カスタマイズの手応え感、アップデートのペース、ユーザーコミュニティの活発度などが、総合的に早いこと。

移行しました

と、ここまで長々とMovable Typeのための弁明を連ねてきましたが、先月末からWordPressに移行してました! だって再構築に時間がかかるんだもーん。
先月まで使っていた「さくらサーバー ライト」では、phpが使えない(今時…)のでダイナミック・パブリッシングが出来ないので、「さくらサーバー スタンダード」に移転すると同時に、WordPressに移行しました。
「ライト」では、MySQL(WordPressが対応しているデータベース仕様)が使えないので、SQLiteが使えるMovable Typeしか選択肢がなかったんですよね。(SAKURA Internet :Movable Typeインストールマニュアル)

まとめ

というわけで、環境によってはMovable Typeのほうが向いている場合もあると思いますし、オープンソース化の恩恵もあると思います。
WordPressはテーマやプラグインが簡単で導入しやすく、テンプレートがphpでいじりやすいので、MySQLが使える(データベースの作成ができればOK)ならばこっちだと思います。

(櫻木)