Web論

先日、「百数十件もアクセスがありながら、『人が来ない過疎ブログ』とは何事か!」という記事を書いた後に、そういえば昔にもこういう議論があったことを(こうした議論は10年前も10年後も繰り返されるだろうけど)思い出した。

上位2.5%以内のサイトが全体の75%のアクセスを握っているのです。これが消えれば97.5%の利用者が快適なサーバ環境を確保できるのです。

「巨大なアクセスを有するサイトではない」のか?

読み物系サイトのランキングサイト『Read Me!』のデータを抽出してみると、コンスタントに数百件のアクセス数を獲得しているのは、上位のほんの数パーセント。さながら人口の数パーセントが国中の富を独占しているアメリカ社会のような比率になっていたのだった。

しかしこれは3年前の話。今はどうなっているのかと、同じくRead Me!でデータを調べて比較してみた。

すると、驚くべきことが分かった。

昨今のネットワーク人口の増大、ブログブーム等を受けて、アクセス数にも変化が見られる。とくに一番目のグループ、100位以内の人気サイトグループは、二倍以上になっている。

      グループ  日割りアクセス平均
2004年: 1-100位   12354 hit
2007年: 1-100位   24323 hit

ところが、他のグループを見てみると、3年前とほとんど変わっていないのだ。

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つまり、ブログブームだのアクセスが増えただの言ってみても、それは結局上位グループがさらに独占傾向を強めただけで、中流から下流のサイトの規模というのは3年がたってもほとんど変わっていないのだ。

いや、むしろ中流は没落して下流に向かっている。

3年前、中流グループである1001-2000位の層の平均アクセス数/日は、146hitだった。これだけですでに例の「百数十件で不人気サイト」という主張はくつがえる。

と思いきや、最新データを見ると同じ1001-2000位の中流層の平均アクセス数/日は、67hitにまで落ち込んでいるのだ。半分以下。100hit以上あるのに過疎などというのは、これはもはや傲慢な妄言以外の何者でもない。

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日本全土を覆う自由競争と格差社会の歪みは、こんなところにまで波及しているのだった。

リードミー順位とバナー呼出数占有率(2004-08)
順位 総呼出数 日割平均アクセス
1-100(0.0-0.5%) 37,063,147 12354
101-200(0.5-1.0%) 8,113,743 2704
201-300(1.0-1.5%) 4,677,484 1559
301-400(1.5-2.0%) 3,120,383 1040
401-500(2.0-2.5%) 2,296,449 765
501-600(2.5-3.0%) 1,808,491 603
601-700(3.0-3.5%) 1,407,206 469
701-800(3.5-4.0%) 1,168,181 389
801-900(4.0-4.5%) 982,435 327
901-1000(4.5-5.0%) 831,663 277
1001-2000(5.0-10%) 4,403,928 146
2001-3000(10-15%) 1,796,052 60
3001-4000(15-20%) 996,337 33
4001-5000(20-25%) 635,052 21
リードミー順位とバナー呼出数占有率(2007-04)
順位 バナー呼出数 日割平均アクセス
001-100 72,969,569 24323
101-200 13,598,758 4533
201-300 5,561,835 1854
301-400 3,133,548 1045
401-500 1,990,039 663
501-600 1,379,128 460
601-700 1,026,823 342
701-800 790,439 263
801-900 622,099 207
901-1000 486,306 162
1001-2000 1,999,013 67
2001-3000 531,118 18
3001-4000 221,899 7
4001-5000 104,401 3

(櫻木)