コラム

呆れた。とある2ちゃんスレまとめを見て、VIPのクオリティも…というか日本男児の質もここまで落ちたか、と哀しくなった。

きときとVIP – 俺が昨日美容院に行った話をしようか -


おそらく全部読んでも時間の無駄なので、ここでかいつまんだあらすじを説明すると

1.30歳無職男が初めて美容院にいく

2.最初に2分ほど座らされただけでキレて店員を威嚇する

3.「どうして美容師になったんですか?」
  「髪を切るのが好きだからですねー」
  「えっ?髪きるのが好きだから、っていつ自分が髪きるの好きだって気づいたんです?」
  「えっ・・・」
  「だって、進路選択までに自分が髪切るのすきだって気づいてたんでしょ?
   でも、普通の学生は普段髪きる機会なんかないじゃないですか。
   どうして自分が髪きるのすきだってきづいたんですか?」
  
  などと低レベルの絡み方でネチネチ責めて美容師の女の子を泣かせる

4.帰りに店の前にあるクーポン付きのチラシを全部持ってきてコンビニのゴミ箱に捨てる

というもの。以上。一体何が面白いのだろう。笑い事じゃなく、笑いどころがさっぱり分からん。これで「吹いた」「お腹よじれた」ってブクマってる人はどれだけ横隔膜弱いんだろう。
これで笑えない僕は真面目すぎるのだろうか。

以下、当該スレや、はてブコメントに寄せられた絶賛する声の数々↓

94 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう
ワロタwwww
166 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう
>>1の文才に嫉妬
241 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう
話術の鬼才現る!
242 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう
腹が痛いwwww

# 2007年07月29日 なにこの鬼畜。なにこの文才。
# 2007年07月30日 久しぶりに笑ったw
# 2007年07月30日 >>1は鬼だな、一種の。口達者ってやっぱあこがれるわ。
# 2007年07月30日 美容院での出来事を~なんよ。文体で語るほのぼのスレ
# 2007年07月30日 腹がよじれる!
# 2007年07月31日 あまりに笑いすぎてはらが痛い

理解不能である。確かに所々フレーズの使い方が滑稽ではあるが、ネタにせよ実話にせよ、不快すぎて笑えないのだ。

そこで、なぜこの話が不快なのか、僕なりにしばらく考えてみた。
そもそも「非力な主人公が、機転や口の達者さで相手をやりこめる」というのは、古今東西にある人気ストーリーのパターンのはずである。

それらはいずれも、時の権力者を風刺したり、いけすかない旦那やDQNなど、「自分より強い存在」に向けられた攻撃だからこそ、それを読んだり聞いたりする人の心の中にある種のカタルシスが生まれ、「快」が生ずるのだと思う。

昭和のお茶の間で人気を博した『ドリフターズ』のコントも、強圧的に威張っているいかりや長介という「強者」に対して、弱者である他の4人が力を合わせて立ち向かい、やりこめるからこそ楽しめるのである。

逆だったら、ただの「イジメ」だ。

この美容院エピソードでは、そこに出てくるのはまさに「弱者」である。「客」として金を払うことを笠に着て、抵抗できない年下の女性をなぶり、傷付け、その様を皆で笑う。この醜い構図を「イジメ」と言わずして何と言おうか。

以前、「2ちゃんねるにもっとも書き込んでいるのは12~19歳」という調査結果があった。これじゃあ低級なイジメが無くならないわけだ、と、ますます武士道精神が風化していく日本の暗い未来を思った。

1は恥を知り、髪なんぞスポーツ刈りでいいから、さっさと職安いけ。

(櫻木)