時事問題

沖縄戦での悲劇「集団自決」について、政治と教育の世界で混乱が生じていますが、果たしてどれくらいの人が、実際に教科書にどのように書かれているか知っているのでしょうか?

どうも、「軍命令の削除」という言葉ばかりが独り歩きしているような気がしますが、これが今回の修正意見がついた該当記述部分です。

三省堂 『日本史A』 改訂版
(申請時)さらに、日本軍に『集団自決』を強いられたり、戦闘の邪魔になるとか、スパイ容疑をかけられて殺害された人も多く、沖縄戦は悲惨を極めた。

(修正後)さらに、追い詰められて『集団自決』した人や、戦闘の邪魔になるとか、スパイ容疑を理由に殺害された人も多く、沖縄戦は悲惨を極めた。

実況出版 『高校日本史B』 新訂版
(申請時)日本軍は、県民を壕から追い出し、スパイ容疑で殺害し、日本軍の配った手榴弾で集団自害と殺し合いをさせ、800人以上の犠牲者を出した。

(修正後)日本軍は、県民を壕から追い出したり、スパイ容疑で殺害したりした。また、日本軍の配った手榴弾で集団自害と殺し合いが起こった。犠牲者は合わせて800人以上にのぼった。

いかがでしょうか。実際には、直接「軍命令」という記述がなくなったとしても、全体のトーンとしてはほとんど変わっていないように見えるのですが。

さて今回、基本的には「軍命令」に関する記述が削除される方向で決定する、という情報がありましたが、山崎拓の周辺から「記述復活」という不気味な声も伝わってきており、予断を許さない状況です。

2007年12月22日11時55分
●沖縄集団自決「日本軍強制」は不可=検定審
 沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史の教科書検定問題で、教科書会社からの訂正申請を審査している教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会が、「日本軍の強制」を直接的に記述する訂正は承認すべきでないとする方針を固めたことが21日、関係者の話で分かった。
時事通信出版局|教育関連ニュース アーカイブ

「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の幹部ら六人が二十五日朝、三度目となる文科省への要請行動のため上京した。要請団と面談した自民党沖縄振興委員会の山崎拓委員長は「集団自決」への軍強制を示していた検定前の記述がほぼ復活すると述べた。
沖縄タイムス

今回の検定意見は至極当たり前の話で、最近の研究や当事者の証言や資料などから、既に「軍命令によって集団自決」というファンタジーの根拠は崩壊しているわけです。日本の教科書というのは、検証された上でほぼ間違いなく「事実」と認められるものを教えるもので、イデオロギーを子供に刷り込むビラではありません。

沖縄で「集団自決」はありました。ただしそれが「軍命令だった」というのは誤りだった。それだけのことなのですから。

実は、そもそも教科書に「軍命令による集団自決」という記述を入れるようにしたのも、教科書検定によるものでした。昭和59年までの教科書には、「沖縄で軍命令による集団自決があった」等という記述はありませんでした。しかし、沖縄からの抗議に屈する形で記述が始まったのです。

要するに、始まりも左翼の運動と誇大広告に政府が乗せられただけだったのですが、今回の検定意見をめぐるゴタゴタは、それに輪を掛けてひどい形で、バカな政府が騙されようとしています。

例の「11万人の大嘘抗議集会」の本当の参加者は、2~4万人だったと言われていますが、マスコミが一斉に「11万人」と煽ったために、すっかり政府側が浮ついてしまったのです。

しかも、集まった人たちのうち、「軍命令」に関する記述のみが問題になっていることを知っている人は、わずかに17%だったのです。ほとんどの人は、「集団自決」という話自体がなかったことにされようとしている、と思い込んでいるようです。

今回の教科書検定が「軍命令」説が実証されていないことをふまえたものであることを知っているのは17.0%にとどまった。
11月20日付産経新聞(東京本社14版)30面

冒頭の教科書記述を読んでみればすぐにわかることですが、実際は、「軍命令」という記述に修正意見が付いただけで、普通に読めば「日本軍のせいで住民が殺された」としか読めない記述のまま保持されているのです。

僕から見れば、修正後の記述でも十分すぎるくらい偏っている気がするのですが、彼ら(反日活動家)にとってはそんなことはどうでもいい、むしろ真相を知らせずに民衆を煽っている方が都合がいいのでしょう。

60年前も今も、事実を知らされずに扇動され、操作されている沖縄の民衆が気の毒でなりません。

(櫻木)