日本語の乱れを指摘する声に対して、「言葉は時代と共に移りゆくものだ」という反論をする人がいる。理屈の上では確かにそうだ。平安時代と現代とでは、使っている言葉は全く違う。
だが、だからといって今ある言葉、「正しい」言葉をないがしろにしたり、先人達の文化的蓄積を恣意的にゆがめたり破壊したりする権利は、誰にもないと思うのだ。少なくとも僕は自分の美意識としては、極力誤用を排し、美しい日本語を使っていきたい。それは公開ブログを更新する者にとっての礼儀でもあると思う。
さて、こんな「誤用」の話を知った。驚いた。
今日おどろいた事。
「なんの唐突もなく」という日本語表現の存在。
・なんの唐突もなく – Google 検索
こんなめちゃくちゃな誤用がこんなにも広まっているとは知らなかった。
物知らずが、言葉を知らないくせに「なんか難しそうな言葉」を使ってカッコつけようとするから、こんな事になる。
上記ブログで異常な誤用として紹介されていたのが、「なんの唐突もなく」だけど、確かにこんなめちゃくちゃなオリジナル用法が存在しているのは問題である。
(ただし単純に検索をした場合、「なんの+唐突も+なく」や、今回の更新で注目を集めたlstyさんとそれを拾ったアンテナが早くも大量ヒットするので、検索演算子を次のようにアレンジする。
→“なんの唐突もなく” -”Google 検索” -はてなアンテナ -あんたジャージ -Pravda – Google 検索
それでも120件もヒットする。)
何の前触れもなく、何の変哲もない、などのフレーズと混ざってしまったのだろうか。他に僕が気になる誤用としては、定番である「すべからく」「確信犯」の誤用法や、「ふいんき」「ふんいんき」などの何故か変換できない系、「的を得る」などの混同用法、「何気に」などの破壊用法がある。あろうことか政府やメディアによって主導される「はく奪」「団らん」「殺りく」などの混ぜ書き用法というのもある。
特に「何気に」は近頃かなり定着してしまっているようで頭が痛い。「何気」は「無い」から「何気ない(わざとらしくない)」のであって、「何気に○○した」では意味が正反対ではないか! 類似の言葉で「さりげに」というのもあったが、こちらは廃れてくれた模様。
さて、ここで私は何の唐突もなく断言せざるおえない。こういう的を得ない誤用を使う人間は、すべからく本を読まない人間である。そういう、本を読まない人種でも、トライ&エラーで少しづつ読み書きを、特に「書く」場を提供したのがIT革命、ブログブームの功績であることを認めるのも、多少は やぶさかでないが…。
それにしたって、こんなうる覚えの誤用は、いちよう本を読んでる人間ならふいんきで見つけれるはずだ。永遠とGoogleの検索結果を見ながら私は思うのだった。ガッシ!ボカッ!キャーやめて! スイーツ(笑) ガイア!(囁) 閑話休題。
(櫻木)
「なにげに」についての国語学の論文読み忘れてたの思い出しました。感謝。
正しい日本語でブログを書くのは最低限のマナー?
朱雀式さんの2008年03月21日の記事、『なんの唐突もなく日本語を破壊する人々』。これは数多のケータイ小説や、ブログ文化、ネット上のコミュニケーション…
言語なんてコミュニケーションの一手段なんだから、通じればいいんだと思うよ
最後が言いたかっただけじゃないんかとw
言葉の乱れをあつめてはやし最上川
言葉なんて意味が通じればいいじゃないすか。……ダメっすか? なんの唐突もなく日本語を破壊する人々 – 朱雀式 むむむ。オレとはまるで正反対の立場であるな…
的を得るが本来正しい。的を射るのほうが誤用です。
言表行為から排斥されがちな他者−哲学はそれによって心の平安を得てる訳ですが−それは貴方でも私でもなく、予期せぬ意味を創りだしてしまう存在、つまり冗談のようなものが重要なのです(1997.11.1.バークレー)
tak shonai’s “Today’s Crack” (今日の一撃): 「的を得る」 は、間違いじゃない
これは的を得た指摘…! 知りませんでした。ありがとうございます。
「なんの唐突もなく」 意味は分かっちゃうところが、日本語って柔軟ですね
「なにげに」という言葉は「何気ないというと些細なことだと思われてしまうので何気ないとは言いたくないが、かといって意識的でないようなことを気づいたらやっていた/やられていた(軽い自己主張を含む)」「みんなが気づかないうちに、自分は意識しつつやっていた(自己主張が一歩進み、何気なくの反対)」という、既存の日本語で表現しにくい感覚にフィットした言葉として使われているような気がしますがね。私の周りでは。
同様に「みたいな(断定に含意される自信を避ける、一種の照れを表す語尾)」という言葉も今は男女分けなく使われますが、これらの「壊れた」言葉というのは日本人のメンタリティの推移を反映しているわけです。
こんなフィーリングが4音節で表されるんだったら便利でイイのでは?
なにげに「ガイア!(囁)」
ま、新しいものに目をつむって伝統に固執して生きていくのもいいんじゃないですか。
そういう用法なら、「実は」とか「密かに」とかで良いんじゃないかと思いますが…。でもそういう「言葉の新しい用法を模索する」「新しい言葉を発明する」という活動には僕自身興味はあります。
ただ、
>新しいものに目をつむって伝統に固執して生きていくのもいいんじゃないですか
で一気に脱力。そう言う事じゃないんですよね…。
>すべからく本を読まない人間である。
これも「誤用」だよ。
内容が内容なので、こうした間違いは致命的だ。
あ、ごめん。
すべからく…はネタか。
精読せずに、すまんかった。
この誤用は何気に確信犯だったわけで、何だか逆にすみませんねぇ…。
(この場合の確信犯は正しい方の確信犯でもある)
最後の方のフレーズ書きたかっただけじゃw
"何の唐突もなく断言せざるおえない。こういう的を得ない誤用を使う人間は、すべからく本を読まない人間である""うる覚えの誤用は、いちよう本を読んでる人間ならふいんきで見つけれるはずだ。永遠と(ry"よく盛込んだw
何気にを普通に使って強麺なさい。書くものによって使い分けてるのはやっぱダメ?
「なにげに」は「そうぞ-く」(「装束」をむりくり動詞化した古語)よりマシ。先人達の恣意的な変更こそ蓄積なのに、自分より下の世代にはその変更を認めないというのは矛盾しておるよ。
「なんの唐突もなく」って、文字通り解釈すると「ちゃんと丁寧に順を追って説明する」ってふうに見えるが、意味内容的には「唐突に=なんの脈絡もなく」だよな。ああ、文法の悪魔合体。
文末