かの悪名高き暗黒法案、人権擁護法案が、ひとまず今回の提出は見送りになりました。しかし、「人権問題調査会長」太田誠一はまだ青白い執念を燃やし、成立をあきらめていない様子。
そもそも人権擁護法案とは?
「人権を守るならいいんじゃないの?」と一瞬思ってしまいそうになるネーミングですが、その実体は実に「暗黒法案」としか言いようがないシロモノです。
その内容は「5名で組織される人権委員会以下、全国に配置された人権擁護委員2万人が、『人権侵害』と判断した対象を告発、取り締まる」というもの。人権擁護委員は被差別者を中心に組織されるとされていますが、この「人権侵害」の判定も、被差別者の定義も非常にあいまいなです。
その上に恐ろしいことは、人権委員会の権力が絶大なところ。人権委員会には国籍の制限もなく、例えばある国の人が人権委員になり、「北朝鮮への経済制裁は人権侵害である!」と認定したら、その言論も国会議員の活動も、著しく制限を受け、その人自身も制裁を受けることになるかもしれません。
しかもこの「人権委員」は法務省の外局で、これを制限する機関も存在しません。どんな暴走をしても誰に求められない、超権力機関です。
こんな法案が成立すれば、戦中の戒厳令下よりも不自由な暗黒時代がやってきます。もちろんこのブログも一瞬で終了し、僕は個人名を晒されたあげく職を失い、刑罰を受けます。「人権擁護法案」とは、一般市民の人権を制限する、「人権・言論弾圧法案」といっても過言ではありません。
古川衆議院議員はこう指摘しています。
「人権擁護法案」の危うさ
「人権擁護法案」は、これまでいわゆるメディア規制部分のみが争点として注目を集めていました。ところが法案提出直前の今になって、法案本体がはらむ重大な危険性に多くの議員やジャーナリストが気づきはじめ、驚愕し、相次いで危機感を表明しているのです。
人を出生や宗教などで差別すること言われなく虐待することは、断じて許されざることです。人権侵害はあってはならぬことであり、法案の理想そのものには誰一人として異を唱えるわけではありません。
問題は、規制のあり方にあります。この法案は、新たに甚大なる「人権侵害」、取り返しの付かない「人権否定」を招くおそれが極めて大きいのです。仮に、このまま法案が成立してしまったら、どんな社会になるでしょうか。たとえばある政治家が、北朝鮮への経済制裁を主張したとします。北朝鮮系の人たちが「これは将軍様に対する侮辱だ!朝鮮人民への差別だ!」と騒ぎたてると、この政治家は、令状なしに家宅捜索を受け、政治生命をも失ってしまうのです。他の政治家は口を閉ざして信念を発言しなくなり、政治・外交は機能不全となるでしょう。もちろん、ジャーナリストも同様です。まさか、おおげさな…と思われるかもしれませんが、現実にその可能性があります。
何が差別にあたり人権侵害と認定されるのか。それは受け手の主観によって大いに左右されることです。何の気なしに描いた絵を、たまたま観た人が「これは侮辱であり、差別だ!」と感じるかもしれないし、あるいは意図的にそう言い立てるかもしれません。その結果、この画家はアトリエを立入り調査され、絵を押収されかねません。出頭要請を拒めば罰則も適用されてしまうのです。
政治家やジャーナリスト、芸術家に限りません。学校の先生であれ労働組合員であれ、何をもって咎められるかわからないとなれば、すべての国民が萎縮した毎日を送ることになります。政治も、哲学も、歴史も、芸術も、いっさい語れない暗黒の社会。「思想・良心・表現の自由」を定める憲法の精神が完全に踏みにじられた社会です。
法案では「人権侵害」の定義があいまいで、いくらでも拡大解釈されるおそれがあります。恣意的な運用によって計り知れない、新たな人権侵害が起こりえます。恐るべきは、罰則を含む「措置」が裁判所の令状なく、「人権委員会」の判断のみで行われることです。警察ですら持たない強権なのです。それでは、この強権を行使するのはいったいどんな人々なのでしょう。
奇怪なことに、全国にはりめぐらされる2万人規模の「人権擁護委員」の選定過程が不透明なのです。資格要件から、わざわざ国籍条項が除外されていること。また、特定の傾向をもつ団体構成員から選任することとされている点。明らかに法案が何かを想定し、何かの意図をもって作成されている感じなのです。
仮に法案が成立するようなことがあれば、断然「自由主義の終わり」「民主主義の自殺」ということになりましょう。法案の国会上程にブレーキをかけようと必死です。
平成十七年三月十一日
衆議院議員 古川禎久
(サルでも分かる?人権擁護法案:人権擁護法案Q&A)
あまりにも知られていなかった
この法案が成立すれば、特にネットの言論は壊滅に近い打撃を受けますが、それが逆に都合がよいせいなのか、マスメディアではこの法案の実体がほとんど報道されることはありませんでした。
その隙に乗じて、まるで潜水艦のようにこそこそと成立させようとしていたのですが、最後の最後でようやく実体が少しずつ知れ渡り、まともな議員の反対にあって、ひとまずは頓挫したようですが、引き続き監視し、抗議の声を上げていく必要があるでしょう。
推進派に抗議を、反対派に激励の電話を。(連絡先一覧)
なぜなくならないのか?
そんな怪しい法案で、しかもこれだけ反対の声があるにもかかわらず、なぜなくならないのか? 人権擁護法案反対派として知られる元衆議院議員城内みのる氏のブログでこんな指摘がありました。
これだけ問題のある法案なのになぜいまだに真剣になって推進しようとする国会議員の方々がいらっしゃるのか。
それは、郵政民営化法案と同じで、すでに国民の知らないところで密室談合で決まっていることがらだからだ。今さら「国民の一部にからくりばれましたよ」と言われても、悪魔にたましいを売ったかたがたは「そうか、ばれたか。それでは本当のことを打ち明けよう。」などとは言えないのである。
談合相手から「なんだばかやろう。お前が法案通してみせると約束しただろう。そのために、お前のために○○を○○したのになんだ。約束が違うではないか。お前殺したろか。」となる。
そう、命が危ないから。みなさんお気づきのようにすべてが出来レースなのだ。あらゆる手段を使ってでも悪法を押し通す。国民の幸せよりもおのれの命や欲得の方が大事だから。そのためにはどんな詐欺まがいのこともやってのける。
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