国際関係

北朝鮮が自称「人工衛星」の発射準備を進めています。人工衛星と口癖のように言いますが、北朝鮮には、人工衛星の打ち上げや制御に必要な装置がないので、人工衛星を打ち上げることは不可能なので、ミサイルであることは明白なわけです。

ミサイル迎撃態勢を閣議決定へ 防衛相、月内にも命令

政府は17日、北朝鮮が「人工衛星」打ち上げと主張して発射準備を進めているとされる長距離弾道ミサイル「テポドン2号」が日本領域に着弾する事態に備え、迎撃態勢の準備を月内にも初めて閣議決定する方向で最終調整に入った。これは自衛隊法の「破壊措置」の規定に基づく。決定を受け、浜田靖一防衛相が自衛隊に迎撃態勢を取るよう命令する。複数の政府関係者が明らかにした。
ミサイル迎撃態勢を閣議決定へ 防衛相、月内にも命令 – 47NEWS(よんななニュース)

イージス艦『金剛』『鳥海』、駆逐艦『鞍馬』

イージス艦『金剛』『鳥海』、駆逐艦『鞍馬』

これに対し、日本側からとうとう「迎撃宣言」が出されました。不思議と日本の国内メディアはこの「開戦前夜」のような緊急事態に対して温度が低く、あまり問題視されている気配はないのですが、これは海外では大きな驚きを持って受け止められている、とか。

当の北朝鮮も、後ろ盾の支那も、アメリカも「あの地蔵のようにおとなしかった日本がこんな反応をするなんて…!」とビビっているようです。日本が世界最強国家だった70年前は、遠い昔の忘れ去られた過去です。

【朝鮮中央テレビ 今月9日】
「我々の平和的衛星に対する迎撃はすなわち戦争を意味する」

打ち上げるのはあくまで人工衛星と主張し、強気の態度を崩していない。

青山繁晴
「何もこれで戦争が始まるわけじゃない、というのがあるんだけれども、実は世界がびっくりしてるというのは、北朝鮮がミサイル撃つことにびっくりしてるんじゃなくて、日本の姿勢ががらりと変わったっていうことにびっくりしてて、こういうことです」

村西利恵
「戦後初めて迎撃を宣言したこと。人工衛星での迎撃は可能ですか?という質問に対して、麻生総理は『日本に直接被害が及ぶ可能性があれば、自衛隊法上は対応できる』と、今月2日の会見で述べています」

青山繁晴
「つまり北朝鮮が人工衛星だと主張してても、とにかく日本にもし落っこちて、そこでわずかとはいえ被害が出るような可能性があるんだったら、自衛隊法上は対応できる。つまり弾道ミサイルが日本に向けて撃たれたら、それを破壊できるというのが自衛隊法82条にあるんで、それを言ってるんで、つまりはその迎撃ってことなんですが、実はこの言葉のあとから麻生さんも、浜田防衛大臣も、そして中曽根外務大臣、あの大人しい中曽根さんも含めてですね、はっきり迎撃というニュアンスを出して、これ日本国内の報道では、何かシーンと静まって、『迎撃するような話をしてるね』みたいな報道なんですが、世界的に言うともちろんDeclaration、宣言したと、迎撃を」

青山繁晴
「で、迎撃って言ったのはもちろん初めてですから、世界はほんとにびっくりしてて、僕のところにも電話やメールがいっぱい来るのに、国内からの問い合わせはほとんどないというのがね、その、ちょっと不思議なとこなんですね…」

ぼやきくっくり | 「アンカー」北ミサイル発射へ 世界が驚いた日本の“迎撃宣言”

ただ、この迎撃する、というのは「石を投げられたら防ぎますよ」とか「殴られたらガードしますよ」と言ってるのと同じで、当たり前の話ですよね。しかも迎撃ミサイルというのは「石を投げられたらこちらからも石を投げて空中で当てて落とします」という、たが投げるだけの向こうに比べてだいぶ分の悪い防御方法です。関係者の話によると、成功率は70%程度とか。野球だったら打率7割はあり得ないくらいすごいんですが、ミサイルの場合は10発撃ったら3発は着弾する可能性があると言うことですよね。
これは極言すれば、現在、日本国民全てに死の危険性がある、ということです。

そう考えると、「迎撃します」は単なる防御の話で当然の話、ようやくスタート地点であって、この宣言を「よく言った」「日本の強い姿勢を示した」と褒めることはちょっと難しい気がします。

大量破壊兵器である弾道ミサイルの照準を日本に合わせ、それで日本の領土を飛び越えて太平洋に落下させる。これは「いつでも日本の本土を焦土にできる」と脅迫するための恣意行動、もしくは準宣戦布告と言ってもいいでしょう。

これに対抗するならば、報復措置にまで言及するべきではないでしょうか。「飛来したミサイルを迎撃する」のに加えて、「迎撃後、直ちに対地攻撃装備を施したF15をスクランブル発進させ、敵基地ミサイル発射基地および周辺各施設を殲滅する準備はできている」くらいのことは言ってしかるべきなんじゃないか、とも思います。

もう一つ不安があります。迎撃に失敗したときのことです。「迎撃する」と言って一発何億もするミサイルを撃ったあげく、「失敗しました」では国内的にも対外的にも日本政府が難しい局面に立たされることは言うまでもありません。

(櫻木)