「百年兵を養うは、平和を護るためである」
大東亜戦争開戦当時の海軍大将、山本五十六の言葉である。
今回はこの言葉をキーワードにして、防衛大臣辞任問題を考えてみたい。
「原爆を落とされて本当に悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったのだと、そういう頭の整理で今、しようがないなと思っている」
安部政権の防衛大臣、久間氏の言葉である。
現役防衛大臣のこの発言に、右派諸党から辞任を求める声が噴出し、政権内からも非難の相次ぐ展開となった。これはもうやめるしかあるまいと見ていたら、事実そのようになった。
故・松岡大臣のときのように、安部首相はなんとか久間元大臣をかばおうとしていたが、
「米国のそのときの考え方を紹介したものだ」(香川県丸亀市での会見)
はともかく、
「日本の使命は、まさに究極の目的である核の廃絶において、大いにリーダーシップを発揮していかなければならないと思います。(久間氏には)防衛大臣として、核の廃絶について、これからも大いに力を発揮して頂かなければならないと思うわけでありますが…」(小沢氏との議論で)
はどうだろうか。確かに日本が核廃絶に向けた努力をしていかなければいけないのは分かるが、それが果たして防衛大臣の仕事かどうか。
山本五十六の言葉
大東亜戦争開戦当時、時の海軍大将山本五十六が、「百年兵を養うは、ただ国家の平和を護らんがためである」という言葉を残している。
山本五十六は、日米開戦に反対し続けたが、今で言う反戦主義者ではなく、かといって好戦的な軍国主義者でもなかった。彼は日本を取り巻く国際関係を冷静に観察し、国防という言葉の本質を知っていた。
真珠湾奇襲攻撃の作戦会議で、司令長官山本は「開戦予定日前日までに日米交渉が妥結した場合は作戦を中止し帰投せよ」と命令した。すると部下が「最初から中止を考えながらでは士気に影響する」と反対したが、山本は
「百年兵を養うは、何のためだと思っているのか。国家の平和を護らんがためである。もしこの命令を受けて帰って来られないと思う指揮官があるなら、今より出動を禁止する。即刻辞表を出せ」
と凛として告げたというのである。(半藤一利『真珠湾の日』)
現代の防衛大臣の任は、日本を防衛するために、まず国内の反社会的勢力に負けずリーダーシップを発揮することである。そして日本の戦闘力を維持し、シナなどの覇権的軍国主義国家に屈することなく、もって日本が世界にリーダーシップを発揮する補助とすること、そしてもちろん一朝事あるときには日本を守る盾ともなり矛ともなる部隊を育てることは言うまでもない。
新しい防衛大臣には、環境大臣やエコモニ等を務めた小池氏が就任した。女性の防衛関係閣僚は初めてということで、僕も意外な気がした。しかし実は防衛問題には明るいそうだし、
「国の防衛には一刻の猶予もない。空白をしっかり埋めて、政府全体の信頼を高める一翼を担いたい」
「新たな脅威やわが国の平和と安全に影響を与える多様な事態に対応し、国際平和協力活動に主体的に取り組むことが必要だ」
といった発言をピックアップすると、なかなか大丈夫そうな気がする。しばらく見守ってみよう。(「ポスト安倍」にまではどうかと思うが)
まめ知識
ちなみに、山本五十六という名前の由来は、六男として生まれたときの父親の年令だそうです。昔の人の命名って結構適当だったりしますよね。6人も生まれると考えるのが面倒になるのかな…。
・参照リンク
真珠湾の日
山本五十六 – Wikipedia
「小池百合子氏が防衛相就任 「感慨深い」」
「「原爆しょうがない」久間防衛相が辞任へ」政治も
(櫻木)
山本家ってよりも、高野家のようなw
100年どころか300年以上鍛えられた武士が戦前に奮戦したのは
何とも明示的…
な、直しました…(遅い)
数百年間に渡って練られた武士道の最後の(?)発露だったんだろうと思いますねえ。
真珠湾攻撃作戦会議での山本五十六。(半藤一利『真珠湾の日』)