国際関係

領土問題としてのガス田問題

先日の記事では、資源問題として、東シナ海ガス田問題を取り上げた。しかし勿論、この問題は領土問題としての性質も強く持っている。中共は、ガス田の「最終合意」という名の日本の白旗譲歩を受けて、国内メディアに対して「日本は中国の主権を認めた」と豪語した。

中国の武大偉外務次官は19日、北京で記者会見し、東シナ海のガス田開発に関する日中合意について「日本は中国の法律に従って春暁(日本名・白樺)ガス田の協力に参加することに同意し、春暁の主権が中国に属することを承認した」との認識を示した。春暁に日本法人が出資する方法は「共同開発ではない」との立場も強調した。
NIKKEI NET:白樺ガス田「日本は中国の主権を承認」 中国外務次官

これは看過できない。この地図を見て分かるとおり、ガス田と尖閣諸島は目と鼻の先だ。かねてから尖閣諸島の領有権を主張している中共は、この問題に勢いを得て「東シナ海は中国の海、ガス田も尖閣諸島も中国のものだ」と言い始めるに決まっている。

尖閣諸島の次は沖縄

そして、尖閣諸島の次は沖縄にその毒牙を伸ばしてくることは想像に難くない。
ガス田問題で、日本が主張している「日中中間線」という客観的なラインに対し、中共が主張しているのは「中間線から沖縄トラフ(海底)まで中国のFEZ」というものだった。なぜ「沖縄トラフ」まで「中国のもの」になるのか? それは、中共が沖縄を潜在的に支那の領土と考えているからであろう。

国際社会は「実効支配」

国際社会では、領土問題は「実効支配」、「支配期間の長さ」が非常に重視される。その領土に人が住み、その期間が長ければその国の主権が発生するものとみなされる。また、武力が背景にあろうが何であろうが、実効支配して、それに対して特に文句を言わないとすれば、それもその国の主権を認めることになる。
つまり「不法占拠されて、不満があるなら文句を言えばいい。言わないなら文句がないものとみなす。」ということだ。これは至極当たり前の話ではある。

しかし、その当たり前ができない国がある。現代日本だ。

国際裁判所では解決できない

こういった領土紛争を解決するための一助として、国際裁判所というものがある。しかし、ここに尖閣諸島の問題が持ち込まれることはない。この裁判には強制力がないため、両者が合意して出廷しないといけないのだが、中共は客観的に見れば自分達に分がないことを痛感しているので、決して裁判に応じることはない。

東シナ海ガス田問題に関する日中協議で、日本側が国際裁判所に結論を委ねることを提案したのに対し、中国政府高官が「裁判に訴えたら日本が勝つだろう」と指摘し、国際法上は日本の主張の方に理があることを事実上認めていたことが11日、分かった。その上で高官は「(裁判で)日本に負けるわけにはいかない」と述べ、国際裁判手続きに入ることは強く拒否したという。
東シナ海ガス田問題 中国高官「裁判なら日本が勝つ」 不利認める (1/3ページ) – MSN産経ニュース

これは韓国が「実行支配」(不法占拠)している竹島についても全く同じで、彼らは国際裁判所への出廷を拒否している。竹島はすでに1952年から56年にわたり不法占拠されている。しかし、今のまま実効支配がさらに20年、30年と続き、日本が支配していた期間を超えたとき、竹島は本当に「毒島」になってしまうかもしれない。

戦後の曖昧な「平和」の中に引きこもっていた日本も、さすがにそろそろ立ち上がらなくてはいけない。そうでなければ、100年後には日本は本州だけになり、その中でさらに移民の中韓人に囲まれて息を潜めて生きなければならなくなる。そんな未来を子供たちに残すわけにはいかない。

(櫻木)