時事問題

60年前、日本が対米開戦に踏み切った直接のきっかけ(原因ではない)は、資源問題だった。石油輸出を封じられた日本は、「半年したら軍艦も飛行機も動かせなくなる」という状況に追い込まれ、開戦に踏み切り、石油資源を求めて仏領インドシナに進出した。

国土の狭い日本にとって、資源問題は死活問題である。地底資源はほとんどない代わりに、海底資源を活用できるかどうかに、日本の今後の資源戦略の成否がかかっているのだ。

東シナ海ガス田そこで懸案の東シナ海ガス田問題である。

日中中間線付近にあるこのガス田には、イラクの埋蔵量に匹敵するほどの石油(1125億バレル)が埋蔵されているとされている。

中共はこの豊富な海底資源に目をつけ、日中中間線を超えて日本側まで繋がっているガス田の開発に既に着手している。日本が調査船を派遣すれば、すかさず軍艦を出して威圧するなどして、一方的に開発し続けてきた。

それが今回「合意に達した」ということだが、これで解決などと能天気なことは到底言えない内容だ。

日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線「日中中間線」をまたぎ、天然ガス田「翌檜(あすなろ)(中国名・龍井)」付近の海域で5対5の対等条件で共同開発を実施。中国が単独開発を進め、問題の発端となった「白樺(しらかば)(中国名・春暁)」では日本が資金を出資し、その比率に応じ一定の権益を受け取る。
「中間線またぎ「翌檜」付近で共同開発 日中ガス田協議が最終合意」政治も‐外交ニュース:イザ!

この「5対5の対等条件で」というのがいかにも売国奴の考えそうな詐術的な表現だ。日本側でとれる資源を、なぜ日本が半分も差し出さなくてはいけないのか。「出資した資金に応じて権益」という表現でも煙に撒かれそうだが、これは要するに、日本の資源を中国が採掘する、そのための技術や資源を日本が提供し、取れた日本の資源を日本が金を出して中国様に譲っていただく、というおめでたい話である。

互恵って何だ?

福田首相「平和友好の海にこれからしていこうと、いうことですからね。そういう趣旨にのっとって、今後、地域のガス開発を進めていきたい」
FNNニュース: 東シナ海ガス田問題 …

加藤紘一氏は「イデオロギーでも本質的な領土問題でもない。良い方向で、合理的に外交問題を処理している」と表明。
NIKKEI NET:日中ガス田合意、自民内の評価割れる

この人たちは本気でこんな能天気なことを考えているのだろうか。そもそも、「互恵」ってなんだ?

ごけい 【互恵】
互いに相手に利益や恩恵を与え合うこと。
「―の精神」

三省堂提供「大辞林 第二版」より

この一方的で侵略的な開発と、それに金を出して参加させていただく関係が、「互いに」利益を与え合っている関係にはとても思えない。もしかすると、「中国に喜んでいただくこと」を無上の喜びとしている福田総理としては、日本のものを中共に差し出せば差し出すほど、日本国民も幸せな気分になると思い込んでいるのかもしれない。福田総理や加藤のような売国奴が、個人的にいくら寄付しようが土下座しようがかまわないが、日本国は彼らにを代表されて、中国に無意味に貢ぎ続けさせられている。こんな屈辱があるだろうか。

現代の「不平等条約」

中川昭一氏(良いほうの中川)がこんな指摘をしている。

中川昭一元政調会長は19日、CS番組の収録で、日中両政府が合意した東シナ海ガス田の共同開発の内容について、「本質論としては何の前進にもなっていない。中国の法律の下、中国の企業に出資するのであって、明治時代の不平等条約みたいなものだ」と述べ、批判した。
「中川昭一氏、ガス田合意は「不平等条約」」政治も‐政局ニュース:イザ!

KNNの遠藤さんによる「明治の政治家がやった事を、これからもう一度私たちにやれと?」という叫びは、良識ある日本人に共通する思いだろう。

東シナ海ガス田問題で日本は、日支(中)中間線をシナに否定され、シナが盗掘している白樺にはただカネを出さされ、なぜか盗掘のおこぼれを少しだけ貰うという「不平等条約」に調印する事になりました。今、日本はシナに開国したばかりなのですか? 明治の政治家がやった事を、これからもう一度私たちにやれと?
KNN TODAY : 外務・経産各省に抗議する

まさにこんな不平等な取り決めは、あたかも150年前、列強が近代的軍事力を背景に日本と不平等条約を結んだ時代に戻ったかのようである。内憂外患を抱えた現代日本が、明治日本のように真の独立国として国際社会にその地位を復活させるまでには、もう一つ後の世代を待たなくてはいけないのだろうか。

1956年の経済白書に「もはや戦後ではない」という言葉があったが、あれは間違いだった。日本は未だに戦後だった。日本の夜明けは、まだ遠いぜよ…?

(櫻木)