時事問題

amr0911161004002-n1来日したオバマは14日、皇居にて天皇皇后両陛下に拝謁し、最敬礼で握手をした。
さすがにオバマ大統領は、文化や礼節をわきまえている。彼は世界におけるアメリカ大統領の地位について知っているのと同時に、日本におわす天皇陛下の特異性についても、ひょっとするとその辺の日本人以上にちゃんと理解している。

オバマ大統領の経歴は特殊だ。本人はアフリカ系黒人と白人との混血で、ハワイに生まれた。ハワイはアメリカ領だが、もともとはハワイ王国だったので独自の文化を持っている。その後インドネシアで育ち、キリスト教系の学校とイスラム教系の学校と両方に通い、長じてからアメリカに戻ってコロンビア大学を出ている。
そんな経歴から来る文化センスや、聖なる者に対する感受性、また日本の礼儀作法についても事前に調査した結果が、あのお辞儀と握手だったのだろう。

なので、この件について「アメリカ大統領がぺこぺこしすぎだ!」とか怒っているアメリカのレッドネックは、本当に田舎もんとしか言いようがない。彼らの中では、アメリカは世界一強くて、アメリカ大統領は世界で一番えらいのだろう。無邪気なもんだ。

初訪日したオバマ米大統領が14日に皇居で天皇、皇后両陛下と面会した際、深々とお辞儀したことが「低姿勢過ぎる」と米ニュースサイトで物議を醸している。保守系FOXテレビは15日、外国の要人に頭を下げるのは「米国の大統領として不適切」と批判した。

同テレビは、2007年2月に天皇陛下と面会したチェイニー副大統領(当時)は、握手だけでお辞儀はしなかったと比較。「オバマ氏は(お辞儀が)日本人受けすると考えたのだろう」と皮肉った。一部サイトは、オバマ氏が「ぺこぺこと頭を下げた」と非難した。

政治専門サイト「ポリティコ」によると、米政府高官は、お辞儀は外交儀礼だとして「政治問題化するのは的外れもいいところ」と一蹴(いっしゅう)した。
「低姿勢過ぎる」 オバマ氏の天皇陛下へのお辞儀に米メディアが批判 – MSN産経ニュース

政府高官の言うとおりである。

また、逆に日本人側が「アメリカ大統領があんなに頭を下げている。何だかいい気味だ」などといい気分になるのも、全くの的外れであることに注意してほしい。
世界の外交儀礼では、皇帝、国王は大統領などよりも上位になっている。感覚的には
天皇>皇帝≧法王>国王>大統領>>>首相
ぐらいだろう。法王が国王よりも上にくるのは、法王が宗教的権威だからである。しかして天皇陛下の場合も、Emperorであるのと同時に、日本神道を統べる祭祀王でもあるので、皇帝よりも上ということになる。

米大統領が、世界的(宇宙的とも言える)権威である天皇陛下に最敬礼をするのは、不思議なことでも小気味の良いことでもなく、ただ当たり前のことでしかない。
そしてこれが外交官100,000人分とも言われる、天皇陛下の外交力である。 (あ、こういう説明の仕方だったら、はてなサヨクとかにも分かるのかな。)

最後に、天皇陛下を敬いつつも、こんな風に序列を付けて「我が国のオォォォ!天皇陛下はァァァ!世界一イィィ!」などとことさらに強調するのは、天皇陛下の大御心にそうものではないはず、ということも忘れないようにしたい。天皇陛下は天皇陛下として、大統領は大統領として、臣民は臣民として、それぞれ自然にふるまうのみである。

(櫻木)