時事問題

いささか旧聞に属する話になるが、上海万博の日本パビリオンに、国旗が掲げられていないそうだ。
関係者に寄れば「中国では、反日ドラマの影響などで日の丸は軍国主義の象徴として嫌われている。今回は政治問題にしたくないので見送った」ということらしい。

日本パビリオンは、「世界一のハイテクトイレ」などの技術力や完成度で、上海万博の中で一、二を争う来場者を誇るらしいが、「ハイテク」以外ののテーマと言えば「遣唐使によって日本にもたらされた文化」や「昆劇(支那の伝統芸能)と能のコラボレーション」など、中国様におもねるような内容ばかり。

そりゃあ、来場者のほとんどが支那人であることを考えると、「お客様は神様です」の商売優先主義ならそれでいいのかもしれないが、万国博覧会というのはそれだけではないだろう。
それに、そんなテーマではまるで「日本は中国なしでは生きていけません」というメッセージを支那人に対して送っているようにもとれる。さらにテーマソングは日本の歌、日本館には国旗なし、では、世界に対してはまるで「日本は中国の属国です」とでも言っているかのように見える。(実際、今でも世界の片田舎には、日本が支那の一地方だと思っている人がいると聞く)

国旗については、「政治問題にしたくない」というような弱腰の配慮こそが政治問題を生むのであって、近年の日本と反日兄弟との政治問題は、全て先回りした日本の「配慮」に端を発している。
また、「中国では日の丸が軍国主義の象徴と捉えられている」のが問題なら、こうした機会にこそ平和国家の象徴として日の丸を誇らしく掲げるべきだし、政府側は支那共産党政府が戦後60年経った今も、戦時下のプロパガンダのような国家方針をとり続けていることを批判していくべきだろう。

この万博の日本館事業には130億円という巨額の費用がかかり、国がその半分を負担しているという。つまり国民の税金である。仕分けするなら真っ先にこういうところではないのか。

そもそも、かかるミジメな「配慮」をしてまで空虚な「技術」と卑屈なアピールをしなくてはいけないようなら、そんな万博に大枚はたいて参加する必要は全くない。国旗を掲げるか、即刻撤収するか、二つに一つだろう。

2010年上海国際博覧会 日本館公式サイト

(櫻木)